カタール・ワールドカップで、日本代表は初戦でドイツ代表相手に2-1の逆転勝利を収めた。一気に話題が沸騰しているが、この勝利にはさまざまな情報と意味が込められている。歓喜がもたらされた理由と今後への影響について、ベテランジャーナリストの大住良之と後藤健生が熱戦直後の現地で激論を交わした。
■内容が変わるコスタリカ戦
――このまま快進撃が続くでしょうか。
大住「いやあ、分からないよ。コスタリカ代表とはまったく違う試合になるはずだから。相手は守りを固めてくるだろうからね」
後藤「コスタリカはスペインにボコボコにされた。試合中からがっかりしていたから、中3日で立ち直るのは簡単じゃないよ。そういう意味で、スペインとの対戦を興味深く見たけど、これは日本は勝たないといけないな。2試合を終えて勝点6にすれば、スペインとドイツの対戦の結果次第では、その時点でグループ突破が決まっちゃうわけだよ。そうしたら、スペインとの第3戦で休めたい選手を休ませて、使っておきたい選手を使って、乗り越えなければいけないラウンド16という大事な大会4戦目で、ベストな11人を使える。だから2戦目に勝つことは非常に大事だよ」
大住「三笘薫はドイツ相手に長くプレーして、南野拓実に出したパスやすごく強度の強い守備をしていて素晴らしかったんだけど、最大の持ち味である一気にトップスピードに乗るドリブルを見せなかったんだよね。これはコスタリカ戦に向けて、すごく大きいと思うよ。そういう面でもうまく勝てて、次につながったという感じはする」
■選手を変える必要は?
――カナダ戦であまり調子が良くなかった田中碧はどうでしたか。
大住「あまり良くなかったね」
後藤「カナダ戦よりは良かったんじゃないですか」
大住「だけど、彼はもっともっと輝かしい選手のはずなんだよ」
後藤「4年後はぜひ、中心選手になってほしい」
大住「冨安健洋がプレーできるなら、中盤の底に板倉滉を回すという手もあるよね」
後藤「今回の試合で、ハーフタイムの後に冨安が出てきた時には、そうするのかな、という気もしたんだよね」
大住「僕は冨安をサイドバックで使うのかなと、一瞬思ったよ」
――コスタリカ代表戦で、ある程度選手を変えたりする点はありますか。
後藤「戦術的な意味で変える必要があるところはそうするだろうけど、メンバーを落とす必要はまったくない。コスタリカ代表相手に変なことをして勝ちを逃して、最後のスペイン戦に全力で勝ちにいかないといけないなんて、そんなバカげた筋書きにしてはいけない」
大住「言ってみれば、勝ち上がるための決勝戦だよ。勝点6を取れば、まず間違いなくノックアウトステージに上がれるから。この試合で勝点3を取るために全力を尽くさないとダメだよ」
後藤「ドイツがスペインに勝たない限り、日本が勝6になるとグループステージ突破は決まるわけだから。コスタリカ戦は全力で勝ちにいく試合だよ」
■課題が残るセットプレー
――セットプレーは本大会で仕上げてくると予想されていましたが…。
後藤「なかったね。全然なかったね。ふつうにゴール前に上げるのと、ショートコーナーの2種類は使い分けていたけどさ」
大住「一度だけ、誰かがキッカーの近くに立って、その上を通り越して田中に渡してクロスを入れたCKはあったよね。ファーポストで合わせていたけど、何だあれだけなのか、と思った」
後藤「もしかしたらコスタリカ戦に取ってあるのかなと思ったけど」
大住「前半2、3本CKがあったのに、どうしたんだろうと思っていたよ。そこだけは準備が足りないんじゃないかと思う。最後に1本くらいびっくりさせるようなセットプレーを出して点を取るというのは、ワールドカップでは絶対に必要だよね。ラウンド16のために取ってあるんだと信じたいところだね」