【識者コラム】GL敗退の可能性はまだ15%、日本を待ち受ける茨の道

 おめでとう、日本国民のみなさん!! カタール・ワールドカップ(W杯)グループリーグ初戦、日本代表は“策士”森保一監督の目論見が見事に的中し、強豪ドイツ代表を逆転で撃破。森保監督は試合翌日、「昨日の試合の流れはもちろん予想していたところだったり、プランしてたところの1つ」と明かしていたので、世界中が騙されてたという感じだ。

 そして、この勝利のおかげで、日本のグループリーグ突破の可能性は「85%」にまで上昇。10回のうち8回以上「当たり」が出る可能性があるクジなら、当然のごとくみんなこぞって買うだろう。今の日本はそんな立場だ。

 なぜ、「85%」なのか。

 それは現在の32チームで争われるようになったW杯、1998年フランス大会以降の6大会で、グループリーグ初戦は16×6=96試合行われた。その中で勝敗が付いたのは73試合。そして初戦に勝利を収めたチームがグループリーグ突破を決めたのは62チーム。つまり「62÷73=0.849」なのである。

 だが、これまで多くの辛酸をなめてきた日本サッカーのファンなら、むしろ残り15%に目を向けるかもしれない。ではどうして突破できなかったのか、その要因を探っておく。

 進出できなかったチームのうち、2戦目に勝利できなかったチームが8チーム、引き分けが3チーム、勝利はゼロ。つまりコスタリカ代表戦に勝利を収めればもうほぼグループリーグ突破と言えるのだ。逆に、負けると一気に緊張感が高くなる。

 だがしかし、と思う人もいるだろう。そんな人は1996年アトランタ五輪を思い出しているのかもしれない。

 1996年7月21日、日本は「マイアミの奇跡」と呼ばれるようになる戦いで優勝候補筆頭のブラジル代表を1-0と破った。だが23日、ナイジェリア代表に0-2と完敗。そして25日、ハンガリー代表を3-2と倒して勝ち点を6とした。

 日本に敗れたブラジルはハンガリーに3-1、ナイジェリアに1-0と勝点6を積み重上げ、日本を倒したナイジェリアはハンガリーに1-0、ブラジルに0-1で勝点6。その結果、得失点差プラス2同士ながら当該対戦の成績からブラジルが1位、ナイジェリアが2位、そして日本は3位となりグループリーグ敗退となってしまった。

 つまり、コスタリカ戦に勝利しても何も保証されない。せっかく確率を出したのだが、それはあくまで数字上の話。日本の前にはまだ茨の道が待っている。

 だったら、日本のグループリーグ突破はやっぱり厳しい? それは間違いないだろう。だって落ちる可能性が15%もあるのだから。

 ところでこのコラムの結論は? いや、それは突破するだろうってことですよ。気持ちですよ、気持ち。というか願望――。

1998年大会以降で初戦勝利→GL突破を逃したチームは?

【1998年】
初戦勝利(11チーム)でグループリーグ突破できなかったチーム
→なし

【2002年】
初戦勝利(12チーム)でグループリーグ突破できなかったチーム
→コスタリカ、アルゼンチン、ロシア

・コスタリカ:中国戦〇2-0、トルコ戦△1-1、ブラジル戦●2-5
・アルゼンチン:ナイジェリア戦〇1-0、イングランド戦●0-1、スウェーデン戦△1-1
・ロシア:チュニジア戦〇2-0、日本戦●0-1、ベルギー戦●2-3

【2006年】
初戦勝利(13チーム)でグループリーグ突破できなかったチーム
→チェコ、韓国

・チェコ:アメリカ戦〇3-0、ガーナ戦●0-2、イタリア戦●0-2
・韓国:トーゴ戦〇2-1、フランス戦△1-1、スイス戦●0-2

【2010年】
初戦勝利(10チーム)でグループリーグ突破できなかったチーム
→スロベニア、スイス

・スロベニア:アルジェリア戦〇1-0、アメリカ戦△2-2、イングランド戦●0-1
・スイス:スペイン戦〇1-0、チリ戦●0-1、ホンジュラス戦△0-0

【2014年】
初戦勝利(14チーム)でグループリーグ突破できなかったチーム
→コートジボワール、イタリア

・コートジボワール:日本戦〇2-1、コロンビア戦●1-2、ギリシャ戦●1-2
・イタリア:イングランド戦〇2-1、コスタリカ戦●0-1、ウルグアイ戦●0-1

【2018年】
初戦勝利(13チーム)でグループリーグ突破できなかったチーム
→イラン、セルビア

・イラン:モロッコ戦〇1-0、スペイン戦●0-1、ポルトガル戦△1-1
・セルビア:コスタリカ戦〇1-0、スイス戦●1-2、ブラジル戦●0-2(森雅史 / Masafumi Mori)