サッカー日本代表の森保一監督が11月26日、「FIFA ワールドカップ カタール 2022」グループEの2戦目、コスタリカ代表戦(同27日)を前に会見に応じた。日本代表は初戦に優勝候補の一角ドイツ代表を破る大金星で、日本だけでなく世界中のサッカーファンに注目された。コスタリカ戦に勝利した上で、同じく2戦目を迎えるグループ首位スペイン代表がドイツ代表に勝利もしくは引き分けると2位以上が確定、3戦目を待たず2大会連続でのグループリーグ突破が決まる。森保監督は「いい準備はできた。最後まで粘り強く戦っていく。勝利を目指してアグレッシブと我慢強さを持ち合わせて戦ってほしい」とコメント。目標とするベスト8以上に向けて、落ち着きつつも強い決意を改めて示した。

【映像】コスタリカ戦への意気込みを語る森保一監督

 冒頭のコメントで、森保監督は「明日のコスタリカ戦に向けて、ドイツ戦後の3日間もいい準備はしてこられたと思うので、選手たちにはチーム一丸となって粘り強く最後まで戦い抜くということ、勝利を目指してアグレッシブと我慢強さを持ち合わせて戦ってほしいという風に思っています。またドイツ戦でも非常に多くのサポーター、国民のみなさんから応援をしていただいて我々は勝利することができました。勝利を非常に喜んでいただけていたという情報を見ていますので、このコスタリカ戦でも我々が勝利して、日本国民のみなさんに喜んでくださるようにベストを尽くして戦いたいと思います」と語った。その後の質疑応答は以下のとおり。

―コスタリカ戦へのプランは。選手起用は。

 まずはコスタリカは、非常に身体能力の高い選手が多いですし、組織としても戦えるチームだということを、これまで彼らのスカウティングをした上で力のあるチームだと思っています。ワールドカップの初戦では0-7という大敗をしましたが、だからこそコスタリカがこの我々との戦いにかけてくるということ、敗戦の後のリバウンドメンタリティーとしても、非常に強い気持ちを持って我々に対して戦いを挑んでくると思いますので、我々はまず自分自身のやることをしっかりやるということと、コスタリカが非常にこの試合にかけてくることを覚悟して試合に臨まないといけないと思います。我々にとっても非常に重要な第2戦ですので、コスタリカがどういう戦いを仕掛けてくるかわかりませんが、彼らが勝ちに来るという部分、前から来てもこれまで通りしっかり守備を固めて、戦いを挑んで来たにしても我々がその状況に対応して、最終的に試合をものにできるようにと思っています。選手起用については、まずは明日のベストということで選手起用を考えていますし、1試合目の疲労等々を考慮して、メンバーを組んでいきたいと思います。メンバーに関しては明日また、試合前の発表を楽しみにしてもらえればと思います。

―第2戦、精神的な面で重要なことは。

 まずはワールドカップの初戦でドイツというワールドカップのチャンピオンにもなったことがある世界のトップオブトップの強豪に勝てたということは、日本サッカーの成長であり、素晴らしい選手たちが戦ってくれたということで、誇りに思える結果が出せたと思いますが、ドイツ戦での勝利は明日のコスタリカ戦での勝利を約束してくれるものではありませんので、そしてまた対戦相手も違って、戦い方も整理しなければこのコスタリカ戦はものにできないと思いますので、過去のことを成果であり課題であり、これまで通りしっかり、明日のコスタリカ戦に気持ちを切り替えて活かすことが大切かなと思っています。ドイツに関しては、隣の(遠藤)航もブンデスの厳しい環境の中で揉まれて非常に選手として成長しているということ、今回も8人の選手がドイツでプレーをしていて、ドイツのサッカーには選手の成長に貢献していただいているということ。過去の歴史の中でも、クラマーさんや多くの指導者の方々、たくさん素晴らしい選手が日本のサッカーの成長に貢献してくださったということを感謝しながら、まだまだ彼らにも学びながら、日本がより世界で戦っていける、日本らしいサッカーを構築できるよう、学びながら成長していかなければいけないと思っています。

―コスタリカの選手で注目している選手は。

 世界的に有名なナバス選手がいますし、非常にコスタリカは強固な守備を持ち味とする強豪だと思っています。フィールドの選手もいい選手たくさんいますし、名前を挙げると明日選手が調子がよくなっても困るので、ここは控えさせていただきますが、我々も勝つために戦いますので、ナバス選手が守るゴールをこじ開けられるように戦っていければと思います。

―過去にグループリーグ2連勝での突破はないが、狙いにいくか。

 明日の試合は非常に重要な試合ですし、それは我々にとっても相手にとっても重要な試合で。強豪コスタリカはこれまでもワールドカップでベスト8を経験している非常に強豪国だということと、この第1戦を踏まえて、非常に難しい試合、厳しい試合になることを覚悟して臨まなければいけないと思います。我々のスタンスとしては、目の前の一戦に最善の準備をする、その試合で自分たちの力を出し切って、ベストを尽くして戦い抜くということを、これまでもやってきましたし、ワールドカップの初戦でも、選手たちがその戦い方を見せてくれました。明日のコスタリカ戦も我々は、今持っているものを全部ぶつけられるように、準備して戦いたいと思います。連勝に関しては、全て連勝がどうこうではなく勝つために戦いたいという気持ちを強く持って、試合に臨みたいと思います。

―ドイツ戦の起用、9月のエクアドル戦のやり方とアップグレードに見えた。サッカーの世界では選手の起用法を変えて結果が出た次の試合は監督の選手起用が難しいと言われるが。

 前の試合からこのコスタリカ戦での選手起用に関しては、まず軸となるところは我々が勝利するためにベストなメンバーを選ぶということと、試合の中で状況に応じて選手の交代策を考えるということに変わりはないという風に思いますし、選手を選ぶということに関しては先発は常にいい選手が26人揃っているので、難しいということは言えると思います。交代策に関しては、状況に応じて我々には素晴らしい選手たちがベンチに準備してくれていますので、状況に合わせて最適と思える交代策を考えていくだけかなと思っています。明日の試合もスタートの選手、そしてベンチから試合の途中にピッチに入ってくれる選手も含めて、チーム一丸となって試合をものにできればなと思っています。

―選手がドイツでの試合を忘れてプレーすることは難しいか。

 難しいことではないと思っています。ドイツ戦の勝利に関して、隣の遠藤航も含めて今の日本代表の選手たちはプレミアリーグでもプレーしていますし、ブンデスリーガでもプレーしている。ヨーロッパのサッカー強国の中で普段から助っ人外国人としてプレーしているので、選手たちにとって何も驚きはなかったのかなと思います。歴史上のことを言えば、もちろん驚きであり、歴史的である我々の勝利だったと言えると思いますが、選手にとってはいい準備をした結果の勝利だと自然に思っているところかなという風に思います。メンタルの切り替えに関しても、次の一戦が大事だとドイツ戦からコスタリカ戦に向けて気持ちは切り替わっていて、過去を全て次のコスタリカ戦に活かすと選手たちは落ち着いて、コスタリカ戦に向かってくれていると思います。

―グループリーグ突破に向けて得失点差への意識は。

 ミーティング等々で話していることは、コスタリカの今の状況、我々に対してどういうモチベーションや戦い方を仕掛けてくるか、私もミーティングの中で話していますし、その前に選手たちがそれぞれで話をしてくれて、情報共有してくれています。得失点差というよりは、まずは我々が落ち着いて相手が前から仕掛けてきたにしても、これまで同様の戦い方をするにしても、まずはいい守備をして、いい攻撃を仕掛けていくというところ。落ち着いてやれればと思っています。得失点差というよりも、我々は明日の試合をどう勝っていくかということ、厳しい戦いを覚悟して戦いに臨むのが大切かなと思っています。したたかに状況に応じて相手を上回っていけるように、明日の試合をものにすることにフォーカスした方がいいかなと思っています。

―ロッカールームを選手がきれいにした。スタジアムもファンがきれいにしたと、日本人ではない人が驚いている。

 日本人にとっては当たり前かなと思っていますし、私自身が育成年代の時であったり、社会人としてもいろいろな方々から教育を受けたところで言いますと「帰る時は来た時よりも美しく」ということは教えられてきたので、その言葉が全ての日本人に当てはまるかわかりませんが、日本の文化としては自分たちが使ったところはきれいにして帰るというのは、ある意味当たり前で常識的なことかなと思っています。それでよろしいですか(笑)。

―両チームともボール保持率が悪かった。

 理想は我々が守備から攻撃に移るという部分、速攻を仕掛けられる時は速攻を仕掛けるということは持っておきながら、ボールを保持しながら試合をコントロールしたいというのは、これまでのチームづくりでトライしてきました。しかしながら第1戦の強豪相手には、なかなか思ったようなことができなかったかもしれないですが、常に自分たちがボールを握りながら試合をコントロールすることはトライしていきたいと思います。明日の保持率がどうなるかわかりませんが、常に明日の試合に向けてはもっとボールを保持しながら、試合をコントロールすることにトライしたいです。

―この4年間でどう成長したか。

 チームとしては、目の前の一戦に勝利を目指して戦うということ、最善の準備をすること、それを明日も実践したいと思います。成長に関しては攻撃、守備、様々なものがレベルアップしてこられたかなと思いますが、何よりも成長というか、私自身がすごいなと思っているのは、選手たちが世界で勝っていくために、個々の力を磨いて、そしてレベルアップしてきてくれた姿を見られたというのが、一番すごいなと思いますし、選手個々の成長が一番かなという風に思っています。グローバルスタンダードの中で、選手個々が身につけたものを日本人のよさである、チーム一丸となって戦う、つながる力だったり今回の短い期間で合わせる力だったり、個が単体だけでなくチームとして機能するところを、個の強さプラスつながるというところを選手たちが見せてくれているのが成長だと思います。

【日本代表 グループリーグ突破条件】

コスタリカ代表に勝利 → スペイン代表がドイツ代表に勝利or引き分け
※日本代表が勝ち点6。ドイツ代表、コスタリカ代表が最終節の結果に問わず勝ち点6に届かないため。
コスタリカ代表に引き分けor負け → 最終節に持ち越し
(『ABEMA NEWS』より)