【専門家の目|金田喜稔】長友や板倉の守備は安定、吉田は単純な技術ミス

 森保一監督率いる日本代表(FIFAランキング24位)は、11月27日のカタール・ワールドカップ(W杯)グループE第2節でコスタリカ代表(同31位)と対戦し、0-1と惜敗した。「天才ドリブラー」として1970年代から80年代にかけて活躍し、解説者として長年にわたって日本代表を追い続ける金田喜稔氏が、この試合に出場した16選手を5段階(5つ星が最高、1つ星が最低)で採点した。

   ◇   ◇   ◇

<GK>
■権田修一(清水エスパルス)=★★☆☆☆(2つ星)
 日本がボールを支配する展開で、GKとしては集中が途切れるし、難しさのあるゲームだったと思う。結果的に、あまり攻められる機会がないなかで、唯一の枠内シュートがゴールになってしまった。悔やまれるのは本当にあのワンシーンだけだった。

<DF>
■長友佑都(FC東京)=★★★☆☆(3つ星)
→ハーフタイムOUT
 抜群にいいパフォーマンスというわけではないが普通の力をそのまま出していた。攻撃面で脅威を与えられたかと言えばそうでもないものの、左サイドの守備は安定していた。これぞW杯経験者という落ち着きがあったように思う。

■吉田麻也(シャルケ)=★★☆☆☆(2つ星)
 ビルドアップ面がやや単調で、伊藤や板倉の攻撃参加を促す形を作れなかった。失点した場面については、つなごうとした判断は理解できるが、単純な技術ミス。あの時間でのミスが致命傷になった。

■板倉滉(ボルシアMG)=★★★☆☆(3つ星)
 悪くなったが、ボールの持ち上がりをはじめ、ビルドアップ面では物足りなさもある。ただ、怪我から復帰してドイツ戦でも奮闘したなかで、上々なパフォーマンスだったように思う。守備面も安定していた。

■山根視来(川崎フロンターレ)=★★★☆☆(3つ星)
→後半17分OUT
 サイドで数的優位を作るため、もっと周りとのコンビネーションプレーが欲しかった。前線に上がってからの動き方、ボールのもらい方、クロスを上げるか否かの判断など反省材料は多い。もっと攻撃面での多彩な仕掛けを見たかった。

鎌田は「今まで見たことのないようなミスも散見した」

<MF>
■遠藤 航(シュツットガルト)=★★★★☆(4つ星)
 改めて、この選手は絶対外せないというプレーを見せていた。ただその分、疲労も心配。守備面はもとより、攻撃面でもボールを持って上がり、相手のファウルを誘ったりしていた。マイナス1は、守田とのコンビネーション不足や攻撃のアクセントのところ。

■守田英正(スポルティング)=★★☆☆☆(2つ星)
 試合の序盤は、プレーに守田らしさが出ていた。ただその後は今ひとつ。怪我から復帰した直後という影響もあったのだろう。ボールが落ち着かなかった印象だ。相手に脅威を与えるようなパスも少なく、相手のブロック間でパスを受けるような良さも発揮できずに終わった。

■堂安 律(フライブルク)=★★☆☆☆(2つ星)
→後半22分OUT
 崩すための工夫を欠いたという表現に尽きる。相手が守っていたなかでも自分が起点となり、自分で仕掛け、クロスやシュートにつながるプレーをもっと増やさないといけない。本来のポテンシャルからすると物足りない出来。守備の意識も高かったが、切り込んでからのアイデアなどを欠いていた。

■相馬勇紀(名古屋グランパス)=★★★☆☆(3つ星)
→後半37分OUT
 いい突破もあったが、そこから崩し切れなかった。相手にとって怖さがないプレーになっていたし、キックの精度も欠いていた。ただ、全体で見れば持つ能力はある程度発揮できていた。

■鎌田大地(フランクフルト)=★★☆☆☆(2つ星)
 今まで見たことのないようなミスも散見した。ドイツ戦からの疲労蓄積を感じさせるプレーぶり。精彩を欠く時間が続いたが、終盤に訪れたチャンスを決めていれば、試合の展開も評価もまた大きく変わった。

<FW>
■上田綺世(セルクル・ブルージュ)=★★☆☆☆(2つ星)
→ハーフタイムOUT
 あれだけ相手が密集しているとポストプレーも難しく、引き出すようなプレーも見せられなかった。シュート面でも怖さはなく、ストライカーとして考えた時には及第点以下になる。大雑把なロングボールやクロスでも入れてくれれば上田は勝負できるタイプ。ただ、そうしたボールも届かず、見せ場自体が限られた。

三笘は相手の脅威になっていたが…「問題は三笘にパスがあまり届かないこと」

<途中出場>
■浅野拓磨(ボーフム/FW)=★★☆☆☆(2つ星)
←ハーフタイムIN
 引いた相手を崩し切れず、持ち味のスピードを生かすスペースもなかった。この日、浅野ができることが限られ、コンビネーションなどでも見せ場は少ない。引いた相手に対しては難しい印象だ。

■伊藤洋輝(シュツットガルト/DF)=★★☆☆☆(2つ星)
←ハーフタイムIN
 3バックの左に入ったが、前線にパスを届けられず、攻撃参加においても積極性を欠いた。三笘とのコンビネーションも今ひとつで、テンポ良くパスを供給できず。失点場面でも最終ラインが乱れて失点を招いた。

■三笘 薫(ブライトン/MF)=★★★☆☆(3つ星)
←後半17分IN
 ドリブルは間違いなく利いていたし、相手の脅威になっていた。問題は三笘にパスがあまり届かないこと。パスが来なければ持ち味を発揮しようがない。もっと勝負できる回数が多ければ、試合の展開も変わったはず。

■伊東純也(スタッド・ランス/MF)=★★★☆☆(3つ星)
←後半22分IN
 浅野と同様、縦のスペースがなく崩す場面が限られた。とはいえ、あの時間帯に投入されてある程度の良さは出していた。コンディションの問題もあったと思うが、日本の武器であること考えると、もう少し長い時間プレーできていれば…と思わずにいられない。

■南野拓実(ASモナコ/MF)=出場時間が短く採点なし
←後半37分IN
 失点直後に投入されたが、大きな見せ場は作れずに終わった。チャンスを作り出せないまま試合終了の笛を聞いた。(金田喜稔 / Nobutoshi Kaneda)