カタールW杯のグループリーグ最初の2試合が1勝1敗という結果だった日本代表。決勝トーナメント進出を懸けた3試合目のスペイン戦は12月1日だ。
 
 その運命の試合に向けて、スペイン代表がドイツ代表と1―1で引き分けた第2戦を現地取材。その中で見えてきたスペイン代表の“弱点”を全3回に分けてレポートする。
 
 第2回はハイラインだ。第1回で触れた通りポゼッション重視のチームゆえ、全体の陣形はかなりコンパクトに保たれており、ボール保持時は最終ラインもかなり高い位置を取ってくる。しかもCBのエメリック・ラポルトとロドリは、機を見てボールを持ち上がってもくるから、最終ラインが数的に均衡もしくは不利になるシーンもある。リスク承知の戦術だ。
 
 さらにスペイン代表は仮にボールロストしても、素早く複数人で囲い込む。ドイツ戦のデータを見ても、守備時の振る舞いで一番多いのがハイプレスの16%で、次いでカウンタープレスの13%だ。そのためには常にハイラインを取っておく必要があるのだ。
 
 一方でハイラインは、最終ラインの裏に大きなスペースができるわけでもちろん諸刃の剣。ドイツ代表は基本的にショートパスを主体に攻めていたが、たまに繰り出す裏、もしくは縦のボールが何度かチャンスになりかけていた。
 
 実際に83分のゴールシーンも、ポゼッションのパスを引っ掛けた後、スペイン代表が最終ラインを整えてコンパクトネスを保とうとした瞬間に縦のボールを入れたところから生まれている。それこそティモ・ヴェルナー(今大会は怪我で欠場)など裏抜けが得意なスピード型のCFがいれば、もっと決定機が増えていたかもしれない。
 
 逆に日本代表には、CFに前田大然と浅野拓磨、ウイングに伊東純也と相馬勇紀と、オフ・ザ・ボールの動きで裏のスペースを突けるアタッカーを擁している。スペイン代表の最終ラインには傑出したスピードを持つDFがいないため、奪ったボールを素早く裏のスペースに送り込めば、ビッグチャンスに繋がる可能性は十分にある。
 
 スペイン代表は最終ラインを綺麗に揃えてのオフサイドトラップも常用する。だから何度かはオフサイドを取られるだろうが、だからと言って裏を狙う動きを止めるべきではない。
 
 そもそも日本代表がボール保持できる時間は間違いなく限られるわけで、鎌田大地、堂安律、久保建英、そして三笘薫などのボールプレーヤーが単独のドリブルや細かいコンビネーションを狙うよりも、思い切って裏抜けを狙い続けた方が、ゴールが生まれる確率は高まるはずだ。三笘は裏抜けのセンスもあるわけで、このスペイン戦に限ればドリブルよりも裏抜けをより狙わせてもいいだろう。
 
 第1回で触れた通り相手のポゼッションをプレッシングでなんとか引っ掛け、奪ったボールを素早く裏のスペースに送り込んで前田、浅野、伊東、相馬、そして三笘らのスピードに賭ける——。スペイン戦における日本代表で最も決定機に繋がりやすいのは、おそらくそんなシチュエーションだ。
 
取材・文●白鳥大知(サッカーダイジェスト特派)

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