【FIFA ワールドカップ カタール 2022・グループD】フランス2-1デンマーク(日本時間11月27日/ スタジアム974)

連日、熱戦が繰り広げられているカタールW杯でフランス代表は開幕2連勝で決勝トーナメント進出に一番乗りした。何と言っても注目すべき選手は、オーストラリア戦で1得点、デンマーク戦で2得点と絶好調のフランス代表キリアン・エムバペだ。

【映像】常識を覆す怪物・エムバぺ、フランスをW杯連覇へ導けるか

エムバペは、桁違いのスプリント力を誇りオープンスペースになると無敵の力を発揮するプレーヤーだ。卓越した技術とアジリティーを生かしてゴール前の密集も難なくこじ開けてしまう。フィニッシュ時の精度も非常に高く、落ち着いたシュート技術が素晴らしく、決定的な場面で最高の仕事をするストライカーだ。

エムバぺのフランス代表として2017年、18歳の時にフル代表デビューを果たす。2018年ロシアワールドカップでは、フランス史上最年少でのワールドカップでの得点を達成する。決勝戦でもゴールを挙げ、ペレに次ぎ10代の選手として史上2人目のワールドカップ決勝戦選手となった。大会2位タイの4得点を挙げ、フランスの優勝に貢献した活躍が認められて、ロシアワールドカップの最優秀若手選手賞と同年のフランス年間最優秀選手賞を受賞しているた。 

カタールワールドカップで早くも3得点目とし、23歳にしてW杯通算ゴール数を7に伸ばす。快速FWだったアンリのW杯通算6得点を抜き、フランス歴代単独2位に入った。今大会でどこまで伸ばせるかも注目されている。

勝負強さのゴールも印象に残る。初戦となったオーストラリア戦では、後半23分に3-1とリードを広げるゴールを決めた。右サイドからのクロスに、相手2人のマークを振り切って頭で合わせた。デンマーク戦では、0-0で迎えた後半16分にDFテオ・エルナンデスのパスに右足で合わせ、先制点を奪った。1-1とされた試合終盤の後半41分にも、FWグリーズマンのゴール前へのパスに、右太ももで押し込んだ。

フランス代表のデシャン監督は「何度も言ってきたが、彼は並外れた選手だ。ピッチでは蒸気機関車のように走り、観衆を盛り上げている」と絶賛の評価を言葉にした。

今回のフランス代表は、3カ国目となる悲願のワールドカップ連覇という夢に挑戦している。だが、カンテとポグバ、そしてベンゼマの欠場が続き、オーストラリア戦ではDFのL・エルナンデスが負傷で離脱するなどその幕開けは暗闇だった。4年前の優勝に貢献した中盤のコンビ以外にも離脱故障者が多く、デシャン監督は頭を抱えていた。それでも才能豊かな若手選手が続々と存在感を示し、戦力の充実度は大会屈指のチームといえるだろう。

エムバペとデンベレという強烈な個がゴールを襲い、グリーズマンがコントロールし力を引き出している。その後ろに攻守の要として、カンテとポグバの不在をカバーすべくラビオ、チュアメニが中盤で圧倒し、34歳で初の世界最優秀選手賞「バロンドール」に輝いたFWベンゼマ欠場の穴をFWオリビエ・ジルーが2ゴールするなど、その穴を埋めている。

大会前には、前回王者は過去3大会連続で1次リーグ敗退という“ジンクス”があった。

過去3大会は、前回優勝国のイタリア、スペイン、ドイツが1次リーグ敗退というデータもある。フランス代表は、ジダンを擁した自国開催の98年大会で、強固な守備を基盤に初優勝した。その後は内部崩壊を繰り返して、チーム成績が振るわなかったが2018年ロシア大会で再び世界一に輝いた。

世界一を争うチーム力の差は拮抗し、連覇は至難の業だ。しかし、60年ぶり、史上3チーム目の連覇達成へ最強の10番、エムバぺがいる。快足ストライカーの常識を覆すゴールラッシュで、我々にどんなサッカーを見せてくれるのか。エムバぺが引率するフランス代表から目が離せない。

(ABEMA/FIFAワールドカップ カタール 2022)