【試合展望】アジア勢からはサウジアラビアが初戦に臨む 実力国メキシコはポーランドと対戦

 カタール・ワールドカップ(W杯)の大会3日目は、FWリオネル・メッシにとって最後のW杯がスタートするアルゼンチン代表や、前回のロシアW杯で優勝したフランス代表が登場。また、昨年開催だった欧州選手権でベスト4入りしたデンマーク代表は今大会のダークホース候補。また、W杯では常に曲者として存在感を放つメキシコ代表や、現代サッカー最高峰のストライカーの一人、FWロベルト・レバンドフスキを擁するポーランド代表も登場する。

■アルゼンチン×サウジアラビア
グループC第1戦
キックオフ:現地時間11月22日13時(日本時間22日19時)
放送・配信:ABEMA
注目選手:FWリオネル・メッシ(アルゼンチン)、FWサレム・アルドサリ(サウジアラビア)

 メッシが試合前日会見で「夢をかなえるラストチャンス」と語ったW杯の初戦を迎える。アルゼンチンは他にもMFアンヘル・ディマリアも今大会限りでの代表引退を表明している。南米予選ではブラジルに次ぐ2位だったものの、昨年は南米選手権(コパ・アメリカ)で優勝。国際Aマッチを36試合無敗で乗り込んでくるだけに、優勝候補の評価は文句なしだ。開催地カタールの隣国サウジアラビア代表が相手だけにアウェーに近い雰囲気になる可能性もあるが、問題なく突破したいゲームだ。

 アジア最終予選では日本代表を大いに苦しめたサウジアラビアだが、このC組では明らかに格下。パスワークを武器にしたサッカーを貫こうとするのか、割り切ってブロックを下げた守備を組むのかの判断が迫られるだろう。その中では、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)王者のアル・ヒラルでもホットラインを形成するMFサルマン・アルファラジとアルドサリのコンビがつながるか。苦戦は免れないが、ここまでカタールやイラン代表といった中東勢が苦しんでいるだけに意地を見せたい。

■デンマーク×チュニジア
グループD第1戦
キックオフ:現地時間11月22日16時(日本時間22日22時)
放送・配信:フジテレビ系、ABEMA
注目選手:MFクリスティアン・エリクセン(デンマーク)、DF ディラン・ブロン(チュニジア)

 デンマークは昨年の欧州選手権では準決勝に進出し、イングランドと延長戦にもつれ込む激戦の末に決勝進出を逃した。いわゆる欧州のセカンドグループと呼ばれる国の中でも戦術的に洗練され、今大会でも台風の目になる可能性は十分にある。その躍進した大会の初戦で試合中に心不全を起こして世界中が回復を祈ったエリクセンは、植え込み型除細動器(ICD)を装着してサッカーのトップシーンに復活。稀代のプレーメーカーが念願の大舞台で輝きを放つ姿が期待されている。

 チュニジアは今年6月にキリンカップで日本と対戦。日本のミスが目立ったとはいえ、それを抜け目なく得点につなげて3-0で勝利した姿が記憶に新しいだろう。過去のW杯では決勝トーナメント進出を果たせていないが、野心を持って大会に臨む。試合を俯瞰すればデンマークの攻撃回数が多くなりそうなだけに、最終ラインでプレーするブロンは注目選手の1人。地中海を渡ってすぐのイタリア・セリエAのサレルニターナで戦うDFが失点を防ぐことができるか。

■メキシコ×ポーランド
グループC第1戦
キックオフ:現地時間11月22日19時(日本時間23日1時)
放送・配信:テレビ朝日系、ABEMA
注目選手:GKギジェルモ・オチョア(メキシコ)、FWロベルト・レバンドフスキ(ポーランド)

 メキシコは前回のロシアW杯初戦では優勝候補のドイツと対戦し、見事な分析と対策を披露して番狂わせの勝利を奪い取った。1994年アメリカW杯から7大会連続でベスト16という成績を残しているように、大舞台では必ず何か爪痕を残していく。その象徴とも言えるような存在はGKのオチョアかもしれない。14年ブラジルW杯では開催国のスター軍団をノーゴールに抑え込み、昨年の東京五輪ではオーバーエイジで出場して銅メダル獲得に大きく貢献した。守護神がレバンドフスキを封じ込められるか注目される。

 ポーランドは前回のロシアW杯でもレバンドフスキを擁して期待されたが、グループ最終戦の日本戦を前に敗退が決定していた。しかし、それから4年が経ちFWアルカディウス・ミリクやMFピオトル・ジエリンスキといったタレントも成長。もちろん、今季バルセロナに移籍したレバンドフスキも健在でどのような攻撃を見せてくれるか期待される。そして、最後方にはイタリアの名門ユベントスで正守護神のGKヴォイチェフ・シュチェスニーを擁している。

■フランス×オーストラリア
グループD第1戦
キックオフ:現地時間11月22日22時(日本時間23日4時)
放送・配信:NHK、ABEMA
注目選手:MFオーレリアン・チュアメニ(フランス)、FWキリアン・ムバッペ(フランス)、マシュー・ライアン(オーストラリア)

 前回王者フランスは、その中盤を支えたMFエンゴロ・カンテとMFポール・ポグバが大会を負傷欠場。その穴を誰が埋めるのか注目される中、ニューリーダーとして浮上しているのが名門レアル・マドリードのチュアメニ。移籍初年度にしてレギュラーをつかみ、偉大な前任者であるブラジル代表MFカゼミロの穴を感じさせないと評価も高い。バロンドール獲得のFWカリム・ベンゼマの大会欠場は残念だが、前回優勝に大きく貢献したエースのムバッペや、ベテランの域に入りながらイタリアの名門ACミランで活躍するFWオリビエ・ジルーが健在だ。

 オーストラリア代表はアジア最終予選で5位決定プレーオフ、さらに南米ペルーとの大陸間プレーオフも制して何とか出場権を獲得した。フランスを相手にしたゲームでは劣勢は避けられない予想だが、アジアナンバーワンGKの呼び声も高いライアンがどこまで持ちこたえられるか。また、ファジアーノ岡山のFWミッチェル・デュークとアルビレックス新潟のDFトーマス・デンがメンバー入り。J2でプレーした2人が世界の大舞台でプレーする姿にも期待したいところだ。

【グループ展望】グループCアルゼンチンを他国が追う構図 グループDは欧州勢を崩せるか

■グループC
アルゼンチン/サウジアラビア/メキシコ/ポーランド

 アルゼンチンが頭一つ抜けたところを、メキシコとポーランドが2位争いするというのが自然な予想だろう。つまり、この両者が直接対決する初戦は決勝トーナメント進出を占う上で非常に重要なゲームになる。もし引き分けとなれば、第2戦以降でサウジアラビアからどれだけ得点を稼ぐかやアルゼンチンからの失点をどれだけ少なく抑えるかによる得失点差が最終的に勝負を分ける可能性すらある。アルゼンチンはメッシ最後の大舞台だけに、決勝戦までを見据えた戦いをしながら順当に突破したいところだ。

■グループD
フランス/オーストラリア/デンマーク/チュニジア

 優勝候補にも挙げられるフランスだが、UEFAネーションズリーグでデンマークと対戦した6月と9月のゲームでは2連敗。直接対決には嫌な印象を持つと予想されるだけに、初戦で得失点差を稼いでデンマークとの第2戦は引き分けも悪くないという状況で迎えたいところだろう。欧州勢による2強グループになる可能性が少なからずあるが、2位通過するとアルゼンチンと決勝トーナメント初戦で当たる可能性が高いだけに首位通過にこだわりたい。チュニジアやオーストラリアは一角崩しを見せられるか。(FOOTBALL ZONE編集部)