オーストラリアが金星を挙げた

MATCH 37 グループD 第3節 2022年11月30日 18:00キックオフ(会場:アル・ジャヌーブ・スタジアム)
オーストラリア 1-0 デンマーク

グループDはすでにフランスが決勝トーナメント進出を決めており、第3節で残り一枠が決まることになる。オーストラリアとデンマークは、次のステージへ進める可能性を残しており、両チームともに勝利が必要となる。ただ裏のカードであるチュニジア対フランスの結果次第でオーストラリアは引き分けでも勝ち抜ける状況ではあるが、チュニジアがフランスに勝利すると勝ち点が並び得失点差での勝負となるため、勝ち点3が欲しい。

勝つしかないデンマークが前半ボールを持ってゲームを支配した。攻撃時はディフェンスラインを高く設定し、センターバックのクリステンセンやアンデルセンがパスの出し手となってオーストラリアを押し込む。デンマークにはエリクセンという素晴らしいパサーもいるため、どこからでも攻撃を作れる体制が整っている。

とくに左サイドからの攻撃が強烈だった。リンドストロム、エリクセン、メーレで三角形を作り、敵陣深い位置までボールを運ぶ。リンドストロムは突破力のあるドリブラーで、42分には味方との連係から上手く抜け出し、ボックス内に進入してクロスを供給する。残念ながらゴール前の味方は合わせられなかったが、後半も左サイドからの攻撃は強みとなる。

対するオーストラリアはよく耐えたという前半だった。守護神のライアンが躍動しており、11分には相手の決定機を防ぐ好セーブを披露。ただ攻撃時の期待感は低く、後半はどれだけ前線のデュークにボールを集められるかがカギになる。

[W杯マッチ37]“アジア勢1番乗り”でオーストラリアが16年ぶりの決勝T進出  EURO2020ベスト4デンマークは課題残しGS最下位
エリクセンのW杯・カタール大会はここで終わることに photo/Getty images

得点を取る力がデンマークには足りなかった

後半も前半同様にデンマークがボールを支配する展開となるが、先制したのはオーストラリアだった。60分、自陣深い位置まで攻め込まれるも、ボールを奪ってカウンターを開始。3本のパスでボールを敵陣まで運び、レッキーが相手DF2人に囲まれながらも、上手くコースを作り左足でフィニッシュ。ボールはゴール右に吸い込まれ、オーストラリアが劣勢の中でリードを奪う。

ここからこの試合の展開が大きく変わることに。余裕を持って攻めていたデンマークは進む時計の針が気になり焦るようになって、攻撃で精彩を欠いてしまう。ゴールを挙げたオーストラリアには勢いが生まれており、67分には左サイドからベヒッチが素晴らしい突破を見せるなど前半ではなかったようなプレイを披露する。

ゴールが欲しいデンマークはドルベリ、コーネリウスと2人のストライカーを投入。コーネリウスは195cmと長身の持ち主であり、デンマークは彼をターゲットにクロスを供給していく。

71分にはドルベリが相手ボックス内で倒され、主審はPKのジャッジ。しかし副審はオフサイドを主張しており、デンマークにPKは与えられず。

その後はデンマークの猛攻むなしく、オーストラリアが1-0で勝利を挙げている。これで勝ち点3を獲得し、計6ポイントでグループDの2位として決勝トーナメント進出を決めた。アジア勢としては一番乗り、2006年のW杯・ドイツ大会以来となる16年ぶりの16強入りとなった。

EURO2020ではベスト4と好成績残したデンマークだが、今大会はグループステージ敗退という結果になってしまった。得点力不足が顕著であり、3試合で奪ったゴールはわずか1点のみ。前線へのボールの供給、サイドからの崩しは問題ないが、ボックス内で輝ける選手がいない。先発のブライトバイテ、途中出場のコーネリウス、ドルベリでは物足りず、得点力向上は今後の課題となるだろう。

[W杯マッチ37]“アジア勢1番乗り”でオーストラリアが16年ぶりの決勝T進出  EURO2020ベスト4デンマークは課題残しGS最下位
2006年のドイツ大会以来となる決勝トーナメント進出を決めたオーストラリア photo/Getty images

[スコア]
オーストラリア 1-0 デンマーク

[得点者]
オーストラリア
60分 マシュー・レッキー

デンマーク
なし

[ポゼッション]
オーストラリア 27% デンマーク 60% 中立 13%

[シュート数]
オーストラリア 8 デンマーク 14

[枠内シュート]
オーストラリア 4 デンマーク 3

[イエローカード]
オーストラリア 2枚
アジズ・ベヒッチ
ミロシュ・デゲネク

デンマーク 1枚
ロベルト・スコフ

[レッドカード]
なし

[ラインナップ]
オーストラリア
フォーメーション : [4-4-2]

監督 : グラハム・アーノルド

GK
マシュー・ライアン(コペンハーゲン/デンマーク)

DF
ミロシュ・デゲネク(コロンバス・クルー/アメリカ)
カイ・ロールズ(ブレシア/イタリア)
アジズ・ベヒッチ(ダンディー・ユナイテッド/スコットランド)
ハリー・ソウター(ストーク/イングランド))

MF
マシュー・レッキー(メルボルン・シティ)
アーロン・ムーイ(セルティック/スコットランド)
ジャクソン・アーバイン(ザンクトパウリ/ドイツ)
クレイグ・グッドウィン(アデレード・ユナイテッド)

FW
ライリー・マッグリー(ミドルズブラ/イングランド)
ミッチェル・デューク(ファジアーノ岡山/日本)

交代出場
46分 クレイグ・グッドウィン→キアヌ・バッカス(セントミレン/スコットランド)
74分 ライリー・マッグリー→ベイリー・ライト(サンダーランド/イングランド)
82分 ミッチェル・デューク→ジェイミー・マクラーレン(メルボルン・シティ)
89分 マシュー・レッキー→アイディン・フルスティッチ(ヴェローナ/イタリア)

デンマーク
フォーメーション : [4-3-3]

監督 : カスパー・ヒュルマンド

GK
カスパー・シュマイケル(ニース/フランス)

DF
ヨアキム・アンデルセン(クリスタル・パレス/イングランド)
ヨアキム・メーレ(アタランタ/イタリア)
アンドレアス・クリステンセン(バルセロナ/スペイン)
ラスムス・クリステンセン(リーズ/イングランド)

MF
マティアス・イェンセン(ブレントフォード/イングランド)
クリスティアン・エリクセン(マンチェスター・ユナイテッド/イングランド)
ピーエル・エミール・ホイビュルク(トッテナム/イングランド)

FW
マーティン・ブライトバイテ(エスパニョール/スペイン)
アンドレアス・スコフ・オルセン(クラブ・ブルージュ/ベルギー)
イェスパー・リンドストロム(フランクフルト/ドイツ)

交代出場
46分 ラスムス・クリステンセン→アレクサンダー・バー(ベンフィカ/ポルトガル)
59分 マーティン・ブライトバイテ→カスパー・ドルベリ(セビージャ/スペイン)
59分 マティアス・イェンセン→ミッケル・ダムスゴー(ブレントフォード/イングランド)
69分 アンドレアス・スコフ・オルセン→ロベルト・スコフ(ホッフェンハイム/ドイツ)
69分 ヨアキム・メーレ→アンドレアス・コーネリウス(コペンハーゲン)