オランダ、スペイン、ドイツ…強豪国のメンバーは小粒感否めず
カタール・ワールドカップ(W杯)の決勝の舞台にもなるルサイル・スタジアムが早くも満員に膨れ上がった。11月26日に行われたグループC第2節のアルゼンチン対メキシコの試合には、8万8966人の観衆が詰めかけた。FIFAの公式ツイッターは、9万4194人を集めた1994年の決勝以来で最高の入場者数だったと伝えている。
ドーハ市内を歩いていても、アルゼンチン、ブラジル、メキシコのユニフォームを着ている人は非常に多い。そのうちの2チームの激突だったことに加え、アルゼンチンが敗れれば、この試合で敗退が決まるということも集客を後押ししたのかもしれない。超満員に膨らんだスタジアムは、水色と白のユニフォームと緑色のユニフォームにあふれ、前半から繰り広げられた両チームの激しい攻防に大いに沸いた。
空席が目立つことが報じられている今大会だが、FIFAはグループリーグ第1節の終了時時点で、集客率がキャパシティの94%に至ったことを発表。第1節で最も多くの観客を集めたのは、ブラジル代表とセルビア代表の試合の8万8103人だったという。
一方で、気になるのはいわゆる強豪国の“スター不足感”だ。オランダ代表、ドイツ代表、スペイン代表のメンバー表を見ても、2010年大会あたりと比べると、やや小粒になった感じが否めない。また、欧州のシーズン中ということもあり、フランス代表FWカリム・ベンゼマやMFポール・ポグバ、MFエンゴロ・カンテ、セネガル代表FWサディオ・マネら負傷者が出た影響もあるだろう。
フランスは初戦のオーストラリア代表戦をアル・ジャノブ・スタジアム(収容人数4万人)、2戦目のデンマーク代表戦をスタジアム974(収容人数4万人)で行っていることもあり集客数は伸びていない。本来であれば、ベンゼマやポグバらスター選手が集うはずだったが、彼らの不在は集客に多少なりとも影響を与えているかもしれない。
ブラジルも、初戦でエースのFWネイマールが負傷した。地下鉄に乗っているブラジルのファンは「ブラジルはネイマールがいないほうが強い!」と、興奮気味に語っていたが、彼のような考えを持つ人は少数派だろう。ネイマールが不在で、落胆している人のほうが多いはずだ。
今回、ポルトガル代表、アルゼンチン代表の試合の取材にも足を運んだが、やはりFWクリスティアーノ・ロナウドとFWリオネル・メッシの人気は別格。特に印象的だったのは、ミックスゾーンでのクリスティアーノ・ロナウドだ。本来は写真撮影禁止のはずだが、カメラを持って待ち構えている女性記者との2ショットに応じ、さながら撮影会のようになった。
今大会が最後とも言われる2大巨星がいなくなったあと、サッカー界がスター不足に陥らないかは心配なところである。もっともこの先、強豪国同士のビッグカードが増えていけば、空席も目立たなくなるだろう。(FOOTBALL ZONE特派・河合 拓 / Taku Kawai)