サッカー日本代表が、12月2日(日本時間)に行われたFIFA ワールドカップ カタール 2022・グループEの最終戦でスペイン代表に勝利し、グループ首位で決勝トーナメント進出を決めた。FIFAランキング24位の日本代表は、同7位の優勝候補スペイン代表に対して奮闘。負ければグループリーグ敗退という土壇場で、11月23日のドイツ代表戦に続くジャイアントキリングを果した。『ABEMA Morning』には元日本代表MFの石川直宏氏が出演。この日の劇的勝利のポイントについて、「攻守のスイッチを入れることができる三笘選手の存在」と解説した。

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 試合終了直後の番組出演とあり、石川氏は「やりました。スペイン相手に、逆転ですよ。ビックリです!」と大興奮。「素晴らしい形で点を取ってくれた。スペインのボール回しに対してどのようにプレスをかけに行くのか、前半と後半で戦い方は変わりましたが、日本が世界の中で戦っていくヒントを知ることができた試合だった」と総括した。

 試合は、日本代表がスペインのリーガ・エスパニョーラ、レアル・ソシエダでプレーする久保建英を先発起用。今大会初めて、開始直後から3バックを採用して森保一監督も勝負に出た。石川氏は、「スペインはサイドバックを高い位置に取らずに、しっかりとブロックを作って前のメンバーでボールを保持していた。ラインがしっかり作られていたので、日本がボールを奪っても出ていけなかった」とコメント。前半11分にはアスピリクエタのクロスにモラタが打点の高い豪快なヘディングからスペインが先制。しかし、「日本はドイツ戦で勝利した経験があるから、慌てなかった」とポイントを解説した。

 日本のDF3人に相次いでイエローカードが出されるなど、守備でも難しい状況を強いられたが、後半開始から堂安、三笘と攻撃的な選手を投入。「前半は後ろに重きを置いていたが、この2選手の投入でより攻撃的な形になった」という。

 48分には、前線でボールを奪うと堂安が豪快に振り抜き、GKの手を弾く強烈な同点弾。51分には、スペイン陣深くで細かくボールを回すと、ラインぎりぎりで三笘がスライディングしながらクロス、これに田中が体ごと飛び込んで逆転のゴールを決めた。この連携には、「三笘選手はボールを持てて守備もできる“スイッチ”を入れることができる選手。(攻守それぞれに)行き切ることによってチーム全体にスイッチが入る。チャンスとなった時に、三笘選手が(攻撃へと)スイッチを入れたことで、(田中選手を含む)全体が上がることができた」と解説した。

 グループリーグ3戦を振り返った石川氏は、MVPに三笘選手をピックアップ。「攻守のスイッチを入れることができる。なおかつ、最後まであきらめない。華麗なプレーと泥臭さ。出場時間が短い中でも結果を出すことができる。パワーの使い方、しなやかさ、力強さを兼ね備えている選手。全国民が『三笘に(ボール)出せ、勝負しろ』という期待をさせてくれる選手なのでMVPにした」と説明していた。

 日本代表は前回のロシア大会に続いて2大会連続4度目の決勝トーナメント進出。グループEを首位通過したことで、次戦はグループF2位のクロアチア代表と12月6日の午前0時から、初のベスト8進出をかけて対戦する。石川氏は、クロアチアの印象を一言で「タフ」と表現。「前回大会で準優勝を経験したモドリッチ選手もいますが若手との融合を図っている段階の中で、優勝するために何が必要かと逆算しながらチーム作りをしている印象。彼は37歳ですが、中心として健在」とした。

 しかし、「日本もグループリーグ3試合でいろんな戦いをして相当タフになっている。クロアチアに対し、タフな部分で上回れたら勝機は近づく。今日のスペイン戦でもスペインの中心選手ブスケツ選手をコントロールして抑えながら戦えたので、クロアチア相手にもやってくれると思う。コスタリカ戦では悔しい思いもしたと思うが、見事なリバウンドメンタリティーで勝利を飾って、1位通過を決めた。大会の中でそれだけの成長があるというのは逞しいし頼もしい。堂々とした姿でベスト8に向かってほしいです」と期待を込めていた。
(『ABEMA Morning』より)