日本代表の躍進を担う存在として、GKの権田修一が神髄を見せている。
例えば、グループステージ突破のために是が非でも勝ち点がほしい格上のドイツとの試合で、自らが献上したPKによってリードを奪われたが冷静さを保ち4連続セーブを繰り出すなど、試合のマン・オブザ・マッチに輝いた。
【映像】日本の守護神・権田修一、GKは「究極の人助け」
その活躍の落とし穴と言うべきか、敗戦となったコスタリカ戦では終盤の失点で大きな批判が集まっていた。
しかし鬼門となったスペイン代表の試合では、勝負強さを発揮して好プレイを披露した。
そんな状況を権田は、冷静に振り返った。「コスタリカ戦はその一本を防げなかったことでさんざん批判されたのでそこの一本を止めるのが勝つために必要だった。それができてよかった。もちろん嬉しいけど、勝ち続けないと意味がないというのも今回の大会ですごく感じた」とすでに気を引き締めていた。
カタールW杯の日本のグループステージの対戦相手には、ドイツのノイアー、コスタリカのナバス、スペインのシモンなど、世界屈指のゴールキーパーが名を連ねた。
大会前の権田のインタビューを聞くと、「世界的なトップオブトップのゴールキーパーと対戦するので『キーパーの差で負けたよね』とワールドカップが終わったときに言われるのだけは絶対にイヤだった。世界のトップオブトップと言われる選手たちと比べられても『権田の方がよかった』と言われるレベルまで引き上げるモチベーションはある」と自信をのぞかせていた。
その宣言通り、権田の活躍もあり日本代表は死のグループリーグを一位で突破した。
「これで突破して、トーナメント一発目で負けたら元に戻っちゃうのが日本なので、何も言われないくらい勝ち続けないといけない。2大会連続でのベスト16進出は初なので、それは成し遂げられたけど、もう一つここで勝てるか、ここでまたベスト16でとなるのかはえらい違い。僕らが目指しているのはベスト8以上に行く、新しい景色を見ること。森保さんはずっとそこを言い続けているので、地に足をつけていきたい」と権田は、悲願達成に向けた想いを言葉にした。
そんな権田だが、代表デビューから13年を経て、ついに日本の守護神としてワールドカップを戦っている。日本代表を「モチベーションを与えてくれる最高の場所」と語り、「代表としてユニフォームを着ることの誇りも責任感も当然ありますし、日本のトップオブトップの選手が集まる場なので、本当にみんな野心がすごい。そこに自分がいると、自分ももっと上を目指さなければいかないと思わせてくれる場所なので、どんな状況でもゴールされる確率を減らせるゴールキーパーになりたい。それと僕がワールドカップを見て日本代表に憧れたので、その子たちに同じ気持ちを持ってほしくて」と未来の日本代表を担う子どもたちへの大きな責任を背負い、ゴールマウスに立つ。
そんなゴールキーパーの役割を問うと「究極の人助け」と表現する。「ゴールキーパーは仲間のミスをチャラにできちゃうじゃないですか。サッカーって称賛と批判が絶対にあって、例えば誰かがハンドしてPKになったときに、ゴールキーパーはPKを止めて(仲間を助けられる)可能性を与えられている」と語り、「キーパーをやっていて、(仲間を助ける)気持ちは強くなりますよね。チームメイトが(ミスをして)批判されて元気をなくすことを自分がなんとかできる」とゴールキーパーだからこそできる、特別な役割を語った。
権田は「たとえばとんでもないパスミスをした選手がいたり転んでしまったりしても、僕が止めさえすれば、その人のそのミスはなかったことにできる」と、キーパーの醍醐味を語る。
どんなシチュエーションでも心を鼓舞してゴールマウスを守る権田のスーパーセーブで日本代表を悲願の場所に連れて行けるのか。
(ABEMA/FIFAワールドカップ カタール 2022)