キーマンとなりそうだ

FIFAワールドカップ・カタール大会では日本やオーストラリア、韓国、サウジアラビアとアジア勢の活躍が取り上げられているが、グループFを首位通過したモロッコはより注目されるべきチームである。

モロッコの前監督はヴァイッド・ハリルホジッチで、日本でも代表監督を務めていた人物だ。しかし日本と同様にモロッコでもW杯前に首を切られてしまった。その後就任したワリド・レグラギ監督はハキム・ツィエクらハリルホジッチ政権で干されていた主力を呼び戻し、今の強いチームを作り上げた。

モロッコはグループステージでクロアチア、ベルギー、カナダと対戦。2勝1分の無敗でラウンド16に進んでいる。この3試合で目立ったのは堅守で、失点はわずかに1。カナダ戦で許したものであり、クロアチア、ベルギー相手にクリーンシートを達成している。

その堅守を支えているのが、フィオレンティーナでプレイするソフィアン・アムラバトだ。兄もプロサッカー選手で、スペインやイングランドでプレイした経験を持つ。

アムラバトのポジションはMFで、代表では[4-3-3]の中盤の一角でプレイする。豊富な運動量を武器に戦うボックス・トゥ・ボックスが彼のスタイルで、西『MARCA』によると、モロッコ代表の中でパス成功数(118回)、ボール奪取数(24回)、インターセプト数(5回)の3分野のトップがアムラバトなのだという。

仏『L'Équipe』では「3つの肺がある」とアムラバトの強みを称賛している。こういった表現はエンゴロ・カンテのような選手に使われることが多く、アムラバトの凄さが分かる。

そんなアムラバトはこのW杯で評価を上げており、モロッコ代表監督であるレグラギは「今彼を欲しがっているチームは列に並ぶ必要がある」と争奪戦になることを示唆している。実際にトッテナムやリヴァプールといったプレミア方面のクラブはすでに関心を寄せている。

モロッコはラウンド16でスペインと対戦する。アムラバトはキーマンの一人であり、チームを初のベスト8に連れていくことができるのだろうか。