献身性でチームを支えた

日本代表には4人のセンターフォワードが招集されている。浅野拓磨、上田綺世、前田大然、町野修斗のことだ。

最も序列が高いのは前田で、4試合のうち計3試合に先発している。クロアチア戦ではゴールを決めており、ストライカーとして役目を果たした。

前田の強みはそのスピードだ。加速力はピカイチであり、トップスピードは世界でも上位に入るだろう。

スピードは何も攻撃だけで生きるものではなく、守備面でも大きな武器となる。日本は今大会守って相手の攻撃を凌ぐ場面が多く、とくにスペイン戦はボール支配率が17%しかなかった。

そんな時、前田は最前線で懸命にプレッシングを続けていた。相手のビルドアップを制限するため何度もスプリントを繰り返す。ゴールのように分かりやすいものではないが、彼のスプリントなくして日本はここまで来ることはできなかっただろう。

クロアチア戦でもその走りが光っており、『FIFA.COM』によると、スプリント数は68回だったようだ。トップはクロアチアのイヴァン・ペリシッチで、71回となっている。ただプレイタイムでいえば前田のほうが少ない。前田は64分までしかプレイしておらず、対するペリシッチは105分までプレイしている。逆にいえばペリシッチは前田よりも41分多くプレイしていたが、3回しかスプリント数で上回れていない。

前田がスプリント数で60回を超えるのは、これが初めてではない。勝利したスペイン戦では60回を記録しており、両チーム通じてトップの数字だった。

ただそんな前田にも改善点はある。それは攻撃面での働きだ。クロアチア戦でこそゴールを決めたが、それ以外の場面では物足りないと感じることが多い。CFであればある程度のポストプレイが必要だが、前田ではそれが難しい。ボールをプレイするという点では、これからの向上が必要となる。

守備的CFとして日本を支えた前田。彼の守備面での貢献は大きいが、これからは攻撃面での向上にも期待したい。