慎重すぎる低弾道のPKが増えている

FIFAワールドカップ・カタール大会ベスト16にてクロアチア代表と対戦し、PK戦の末敗れた日本代表。PKでは4人中3人が失敗することになってしまい、この敗戦以降PKが日本国内でも議論を呼んでいる。

同じくベスト16ではスペイン代表VSモロッコ代表の一戦もPK戦までもつれ、こちらはスペインが3人全員が失敗して敗れている。スペインといえばテクニシャンが多いイメージがあるだけに、1本も決められなかったのは衝撃的だ。

このPK戦に限らず、今回のFIFAワールドカップではPK失敗が目立つ。ポーランド代表FWロベルト・レヴァンドフスキもメキシコ戦で失敗しており、ここまで計31本のPKで決まったのは18本。大会全体の成功率は58%ということになる。各国のスターが集まっていることを考えると、やや低い数字か。

スペイン代表監督ルイス・エンリケはPKを1000本練習してきたと自信を口にしていたが、英『Daily Mail』は「練習をしても完璧にはならない」と主張している。

何より大きな違いは、FIFAワールドカップが4年に1度の祭典ということだ。5大リーグやチャンピオンズリーグでのPKも緊張感は相当なものと予想されるが、国を背負って4年に1度の祭典で蹴るPKはクラブシーンとは異なるプレッシャーがあるはず。それを普段のトレーニングで養うのは難しいだろう。

その緊張感もあるのか、同メディアはカタール大会にて低弾道のPKが多すぎると指摘する。選手たちはゴール上に外れるケースは避けたいため、どうしてもボールが低めに集まってしまう。なおかつコースも枠内を意識すると甘くなる傾向にあり、GKにストップされる可能性が高くなる。

今大会は31本のPK中11本をGKがセーブしているが、日本が止められたPKも弾道は低かった。メンタル的なことを考えると、FIFAワールドカップでのPK戦はGK有利と言えるのかもしれない。

勇気を持ってゴール中段から上段へ強いボールを蹴り込めれば、一流GKでも止めるのは難しい。それは技術というより、メンタル的側面が大きく影響してくるのだろう。