前半35分にメッシのパスからモリーナが得点

 FWリオネル・メッシを擁するアルゼンチン代表は現地時間12月9日、カタール・ワールドカップ(W杯)の準々決勝でオランダ代表と対戦。初戦でサウジアラビア代表にまさかの黒星を喫したが、その後はメキシコ代表戦(2-0)、ポーランド代表戦(2-0)に連勝すると、決勝トーナメント1回戦でもオーストラリア代表に2-1で競り勝ち、準々決勝に勝ち上がった。

 ルサイル・スタジアムでアルゼンチンが試合をするのは、サウジアラビア戦、メキシコ戦に続いて3試合目。一方、オランダ代表は初めて決勝の舞台にもなるスタジアムに足を運んだ。

 オランダの前日会見では、オランダのサポーターに1400枚のチケットしか渡らなかったことが話題となっていたが、実際に8万人収容のスタジアムは9割以上が水色と白のユニフォームを着たアルゼンチンのファン・サポーターで埋まっている。このため、オランダにとっては完全なアウェー状態となっている。

 両チームが一進一退の攻防を見せるなか、メッシが魅せる。前半35分、オランダの3ボランチの前でボールを受けたメッシは、ドリブルで左斜め前方に仕掛けて行くと、対角の右斜めにスルーパスを通す。これがオランダの守備の間を通ってDFナウエル・モリーナの下に通った。モリーナは、オランダ代表DFヴィルジル・ファン・ダイクが寄せてくる前にアウトサイドでシュート。これがゴールに決まり、アルゼンチンが先制した。

 ゴールが決まった瞬間、スタジアムのアルゼンチンファンは大歓声を上げて喜びを爆発させた。オランダの堅守を切り裂いたメッシのキラーパスによって生まれた先制ゴール。さらに前半40分にもメッシは、相手のマークをものともせずに右足でのシュートに持ち込むと、スタジアムからはファンは両手を上げ下げしてメッシを崇拝するコールで、違いを作り出し続けるスターへの敬意を示した。

 優勝候補に挙げられていたFWネイマール擁するブラジル代表がPK戦の末に準々決勝でクロアチア代表に敗れたが、メッシはアルゼンチンを準決勝の舞台に導くことができるだろうか。(FOOTBALL ZONE特派・河合 拓 / Taku Kawai)