FIFAワールドカップカタール(W杯)にて、サッカー日本代表はドイツ、スペインといった強豪を撃破したものの、ベスト4に駒を進めたクロアチアにPK戦の末に敗れ、史上初のベスト8進出を達成できなかった。
次回、2026年W杯北中米大会(カナダ・メキシコ・アメリカの3カ国共催)でのベスト8進出は悲願であり、日本代表全体のレベルアップのためには現在以上の競争が必要だ。そのなかに割って入ることが期待される、現在海外でプレーする選手からカタールW杯でメンバー入りしなかった5人をピックアップしたい。
中村航輔(ポルティモネンセ/ポルトガル)
柏レイソルの下部組織で育ったGK中村航輔。プロ3年目の2015年に当時J2にいたアビスパ福岡へ期限付き移籍すると出場機会を確保。J1昇格に大きく貢献した。2016年にはリオデジャネイロ五輪に出場し、2018年ロシアW杯のメンバー入りも果たした。その後の日本代表定着が期待されたが、脳震盪や負傷の影響で外れることに。
2021年にポルティモネンセへ移籍するも出場機会を得られない日々が続いたが、今2022/23シーズンついに定位置を掴むとここまで9試合に出場。セーブ能力の高さに加えて精度抜群の低弾道パントキックなどから攻撃に繋げることもできる。カタールW杯ではGK3人ともが30歳以上であり、4年後に31歳となる中村が今度こそ定着できるか。
菅原由勢(AZアルクマール/オランダ)
名古屋グランパスの下部組織からトップチームに昇格したDF菅原由勢は、2018年4月に17歳10か月とクラブ最年少でプロ契約。各年代別の日本代表を経験し、2019年6月にはオランダの名門AZアルクマールへ期限付き移籍。翌年2月にはAZが買取オプションを行使し、5年契約を結んだ。その後も年々出場試合数を増やしている。
179cmと水準以上の高さもあり、右サイドバック(SB)に加えてセンターバック(CB)、中盤でもプレーできるユーティリティプレーヤーのため重宝される可能性は高い。日本代表の右SBは32歳となった酒井宏樹(浦和レッズ)や28歳の山根視来(川崎フロンターレ)が担っているが、菅原はまだ22歳。それでいて国際経験はすでに豊富で、2026年のW杯でメンバー入りする可能性は高い。
田中聡(KVコルトレイク/ベルギー)
U-17から各年代別日本代表を経験しているMF田中聡は、10代にしてJ1の湘南ベルマーレでレギュラーを掴み、今年8月にはKVコルトレイクへ期限付き移籍。9月から出場機会を増やすと、ここまで10試合に出場している。
174cmと身長は高くないが、アグレッシブなプレースタイルでボールを刈り取る。日本代表がW杯でベスト8以上に進むためには中盤の強度が必要不可欠であり、田中ならばその役割を担えるはずだ。まずは完全移籍への移行となるかに注目である。
本間至恩(クラブ・ブルッヘ/ベルギー)
アルビレックス新潟の下部組織からトップチームに昇格したMF本間至恩。2020年からは背番号10を背負い左サイドから攻撃陣を牽引。2022年7月にはベルギーのクラブ・ブルッヘへと完全移籍した。
ベルギーリーグを3連覇中で、近年もっとも実績を残している同クラブ。ベルギーリーグでプレーする日本人選手は増加しているが、クラブ・ブルッヘに所属は本間が初。セカンドチームでベルギー2部に所属するクラブNXTからのスタートとなっているが、9月に初ゴールを決めるなど期待は高まるばかりだ。
日本代表の左サイドハーフ(SH)は層の厚いポジションであり、三笘薫(ブライトン・アンド・ホーブ・アルビオン/イングランド)や久保建英(レアル・ソシエダ/スペイン)などがいるが、本間の細かいタッチでカットインしていくドリブルの技術は彼らにも劣らない。新潟の至宝は海外でも成功し日本代表入りとなるだろうか。
奥川雅也(アルミニア・ビーレフェルト/ドイツ)
京都サンガF.C.の下部組織で育ち「古都のネイマール」とも呼ばれたドリブラーMF奥川雅也は、日本でサッカーファン以外からの知名度は高くない。2015年にトップチームへ昇格したのだが、その年の6月にはオーストリア・ブンデスリーガの強豪、レッドブル・ザルツブルクへ完全移籍したためだ。
そこからさまざまなクラブへの期限付き移籍で実績を積むと、2019/20シーズンにはザルツブルクで23試合出場9得点を記録。翌年からはビーレフェルトへと活躍の場を移すと、2021/22シーズンにはドイツ1部で8得点を挙げた。チームの降格により今2022/23シーズンは2部でのプレーとなっているが、日本代表でも通用する実力を有している。ドリブルの技術とゴール前での落ち着きを併せ持ち、ボールを持つと観客を湧かせられるだろう。