アルゼンチンが36年ぶりの栄冠まであと一歩に迫った。リオネル・メッシが悲願のワールドカップ優勝を成し遂げられるのか、世界は12月18日のフランスとの決勝戦を楽しみに待っている。

 ワールドカップはメッシにとって唯一足りないとされてきたタイトルだ。バルセロナであらゆるトロフィーを手にし、個人としてバロンドールを7回も受賞した彼だけに、その唯一欠けているピースも手に入れれば、母国の英雄を上回るとの声も少なくない。ディエゴ・マラドーナのことだ。

 識者の間でも、メッシがカタールの地で世界の頂点に立てば、マラドーナを超えるとの意見もあり、ここにきて議論が白熱している。だが、元イタリア代表のフランチェスコ・トッティは違う考えのようだ。

 イタリア紙『Corriere dello Sport』によると、トッティは『BepiTv_1』の『Twitch』での配信で、「マラドーナこそがサッカーだ。メッシは世界最強だが、マラドーナには及ばないね」と述べている。

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 一方、『Gazzetta dello Sport』紙によれば、トッティはメッシのライバルであるクリスチアーノ・ロナウドが大会を前にマンチェスター・ユナイテッドを退団したことについて、「彼の感情を自分のことのように感じている」と話した。

「いつだって外部から話すのは簡単じゃない。何が真実かを理解するには内部にいる必要がある。とにかく、(ロナウドは)世界最強の選手のひとりであり、リスペクトすべきだ。彼に私のアドバイスは必要ない。ただ、自分もすでに経験したから、トップに立ってから脇に追いやられるとどういう気持ちになるかは知っている」

 ローマで「王子」と愛されたトッティ自身、キャリアの晩年はルチャーノ・スパレッティ監督(当時)の確執などが騒がれ、後ろ髪を引かれる思いを抱えながら現役生活に終止符を打った。超一流の選手たちがどのように“最後”を過ごすのかは難しい。

 現在無所属で去就が注目される37歳のロナウド同様、35歳のメッシも“最後”は遠くないかもしれない。これから本人がどのような道を歩むか注目される。だがまずは、日曜のファイナルだ。マラドーナを超えられるかどうかは関係ない。メッシが目指すは、とにかく悲願を成就させることだけだ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部