FIFA ワールドカップ カタール 2022では、多くのトッププレイヤーが至極のプレーで観るものを魅了した。今回は「ドリブル」にフォーカスを当てて、メッシ&エムバペの驚異のテクニックについて振り返る。
【映像】“神の子”&“怪物”世界を震撼させたドリブルテクニック
新時代の怪物が見せた守備者6人を無効化するドリブル
2000年代のフットボールを牽引したメッシやクリスティアーノ・ロナウドに代わり、これからの“新時代”を先頭で牽引することになりそうなのがフランス代表FWエムバペだ。
決勝戦でハットトリックを決めたことで今大会の得点王に輝き、現在23歳にしてワールドカップ通算12ゴールと驚異的なペースで得点を量産している。
そんなエムバペの代名詞がドリブルだ。前方にスペースがあれば一瞬の加速力で相手を振り抜き、一気に決定機を作ってしまう。ただ、エムバペのドリブルは“スピード”一辺倒ではない。モロッコ代表との準決勝では狭いエリアを自慢のテクニックで突破していった。
ペナルティエリア内でテュラムからマイナスの折り返しのボールを受けたエムバペは、目の前のモロッコ代表MFアムラバトを右足のコントロールで剥がすと、ここからショーが始まった。
エムバペ1人に対して彼の動きに合わせて6人ものモロッコ代表の選手が守備をしていた。これを一瞬の加速力、そして足元からボールが離れない抜群のボールコントロールを駆使した“ダブルタッチ”で一気にシュートにまで持ち込んだのだ。この一瞬の出来事にモロッコ代表の選手たちは身体を投げ出すのが精一杯で、エムバペが放ったシュートのこぼれ球をコロ・ムアニに詰められてしまった。
神の子がたどり着いた新境地 技術が詰まったドリブル
“神の子”メッシも35歳となった。流石に全盛期と比較するとスピードは落ちたが、身体に染みついたドリブルテクニックは一切錆びついていない。
クロアチア代表との準決勝では、今大会で数多くのFWを封殺してきたグバルディオルと対峙した。スローインの流れからライン際でボールを受けたメッシはグバルディオル相手に1対1を仕掛けた。しかし、今はスピードだけで抜き去ることができない。グバルディオルも抜かせない守備でメッシにピタリとついた。
するとペナルティエリア付近でメッシが魅せた。ゴールから反対方向を向いていた状況から一気に加速して反転、そのままペナルティエリア内へと侵入した。これにはグバルディオルも後手を踏み、メッシに置いてけぼりにされた。そしてこの突破からアルゼンチン代表にゴールが生まれた。
エムバペのようにスピードがある選手の場合はゴール方向に向かってドリブルを仕掛けても相手を抜けるが、今のメッシはそれだけでは相手を振り切れない。そのため一旦逆側を向いてそこから仕掛けることで、相手の矢印とは逆側にドリブルをする。この一工夫で相手DFは対応が遅れてしまうのだ。
2人のタイプは違えど、世界を震撼させた脅威のドリブルテクニックに多くのファンが魅了された。
(ABEMA/FIFA ワールドカップ カタール 2022)