VAR介入の基準も話題に
サッカーの世界にもテクノロジーの力が加わり、今回のFIFAワールドカップ・カタール大会でもVARや半自動オフサイド判定テクノロジーが導入されている。このおかげで細かいプレイをジャッジすることが可能になり、明らかな誤審は減少傾向にあるのだろう。
しかし、今大会では審判が注目を集めるケースも目立っている。最たる例は準々決勝のアルゼンチンVSオランダの一戦で、主審を務めたアントニオ・マテウ・ラオスは両チームのスタッフも合わせて18枚もイエローカードを提示する荒れたゲームになってしまった。両チームともかなりエキサイトしており、小競り合いも起こるなど後味の悪いゲームだ。もう少し主審がゲームをコントロールすべきだっただろう。
続く準決勝のアルゼンチンVSクロアチアでは、試合後に0-3で敗れたクロアチア代表MFルカ・モドリッチが主審を務めたダニエル・オルサートのジャッジに不満を漏らしていた。
「試合の重要な瞬間だった。アルバレスはシュートを打っていたし、その後GKとぶつかった。ファウルではなかったと思う。あのPKは信じられない。普段は審判について話さないが、今日は話すしかない。今日の審判は最悪の1人だった。今日だけじゃない。彼のレフェリングで何度か試合をしているが、良い思い出はない」(スペイン『MARCA』より)。
アルゼンチンの1点目に繋がったPK獲得のシーンは議論を呼んでおり、アルゼンチン代表FWフリアン・アルバレスとクロアチア代表GKドミニク・リバコビッチの接触はファウルではなかったとの指摘もある。
また準々決勝のイングランドVSフランスの一戦では、フランスが先制点を挙げる直前のプレイでイングランドFWブカヨ・サカに対するファウルがあったのではないかとの意見もあった。このシーンでは右サイドでボールをキープしたサカに対してフランス代表DFダヨ・ウパメカノがチャージし、サカが尻もちをつく形で転倒。リプレイで見るとウパメカノの足がかかっているようにも見えたが、主審は笛を吹かなかった。フランスがその流れからカウンターアタックを仕掛け、最後はMFオーレリアン・チュアメニが見事なミドルシュートを突き刺してフランスが先制に成功している。
グループステージでは最終節のウルグアイVSガーナの一戦で、終盤にウルグアイ代表FWエディンソン・カバーニがペナルティエリアでガーナ代表DFアリドゥ・セイドゥと接触して転倒。ややPKをもらいに行ったようにも見えたが、ここも笛は鳴らず。ウルグアイの選手たちは試合が終わってからも抗議していたが、判定は覆らなかった。
これらのシーンではVARが介入するかしないかの基準が曖昧なところもあり、判定を巡る話題がSNS上でも起きていた。一部SNS上では、サッカーファンから両チームの監督側がVARを要求できるチャレンジ制度を設けてはどうかとの声も出ており、テクノロジーをどう活かすかは4年後への課題となりそうだ。