今大会のグリーズマンはピッチのあらゆるエリアに顔を出している

キャリアの最初は攻撃的な位置でプレイしていたのに、年齢を重ねるとともに中盤へプレイエリアを変える選手が時折出てくる。これは簡単なことではなく、サッカーIQが高い選手でなければポジションを下げるのは難しい。

その圧巻のサッカーセンスをFIFAワールドカップ・カタール大会で見せつけているのがフランス代表FWアントワーヌ・グリーズマンだ。

グリーズマンは所属するアトレティコ・マドリードでもゴールゲッターの役割を担っており、2014-15シーズンと2015-16シーズンはリーグ戦で22ゴールを記録するなど高い得点力を披露していた。

それが31歳で迎えた今回のカタール大会では中盤に位置し、攻守両面に顔を出す万能戦士としてチームをコントロールしている。4年前とはまるで異なる役割で、その守備センスに驚いた人もいるだろう。

英『The Sun』もグリーズマンのサッカーセンスを絶賛しており、ウェイン・ルーニーやエイドゥル・グジョンセン、トッテナムで活躍したムサ・デンベレと重ねている。

ルーニーもデビュー当時はゴールゲッターだったが、何でも器用にこなす天才肌の選手だったことからウイング、セントラルMFなど複数のポジションをこなしてきた。若い頃のやんちゃなストライカースタイルが好きというファンも多いだろうが、年齢を重ねて落ち着いてからは中盤に入る機会も増えていた。ルーニーも抜群のセンスの持ち主だ。

自慢の突破力は残しつつ、ボランチとして活躍したデンベレ、最近ではニューカッスルで想像以上の守備スキルを見せるジョエリントンもそうだろう。

アタッカーは年齢とともにスピードを失う傾向にあり、その際にポジションを下げる選択肢を取れるのは大きい。今後はグリーズマンも中盤でプレイする機会が増える可能性があり、運動量も守備センスも申し分ない。グリーズマンもまた天才肌の選手と言っていいだろう。