カタールワールドカップの3位決定戦が現地17日に行われ、クロアチア代表がモロッコ代表に2-1で勝利を飾った。
試合は序盤からフリーキックの流れでゴールを奪い合うエキサイティングな展開に。7分にクロアチア代表がDFヨシュコ・グヴァルディオルのゴールで先制すると、直後の9分にモロッコ代表DFアシュラフ・ダリが同点弾を挙げた。
それから数分経った頃、スタンドでも歓喜の輪ができていた。記者席のすぐ横でモロッコ代表のユニフォームを着た観客の男性がパートナーに突然プロポーズしたのである。女性の返事はもちろん「YES」。抱き合って喜ぶ2人に、周囲からは盛大な祝福の拍手が贈られた。
試合中に一世一代のプロポーズを敢行したのは、アメリカ・ボストン在住の医師でレバノンにルーツを持つスヒル・アドラさん。パートナーのニスリン・カワさんにはもちろん「完全サプライズ」で、プロポーズを3位決定戦の試合中に行うのは「2日前に決めた」と語る。
スヒルさんは取材に対し「彼女はただ試合を見にいくだけだと思っていただろうけど、僕は違った。そもそもこの試合に行くことは伝えていなかったから、彼女は僕がスタジアムに来ているなんて想像もしていなかったはずさ」と明かす。
モロッコ代表が同点ゴールを決めてからしばらくして、スヒルさんは隠れていた近くの席からニスリンさんの隣に移動。アラビア語で「結婚してください」と真っ直ぐに思いを伝え、持参した婚約指輪を手渡した。突然の告白を受け、あまりの驚きにニスリンさんは「ただただ笑いしか出てこなかった」という。
スヒルさんの「サプライズ」は、カタールにワールドカップ観戦の旅が決まった時から密かに進行していた。
「僕たちはモロッコ代表のユニフォームを着て応援しているけど、レバノン出身で、普段はアメリカに住んでいるんだ。今回、カタールまでワールドカップを観にこられることになって、『ここしかない。ここで言わなきゃ』と思っていた。彼女は本当に何も知らなかったんだよ」
2人が交際関係になったのは2019年から。約3年を経て、カタールの地で晴れて婚約することとなった。ニスリンさんは「本当に驚きました。最高です! アメリカに戻ったらニューヨークに引っ越すつもり。もちろん2人でね!」と喜びと2人の将来のプランについても明かしてくれた。
ハーフタイムと試合後には数々の取材や写真撮影に応じていたスヒルさんとニスリンさん。殺伐とした雰囲気の観客席を明るく照らした2人が、これから幸せな家庭を築いていけることを願うばかりだ。
(取材・文:舩木渉)
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