大きな変化が必要となる

FIFAワールドカップ・カタール大会も終盤に差し掛かっており、残すは決勝の1カードのみとなった。アルゼンチン対フランスのゲームであり、前回のロシア大会ではラウンド16で対戦し、4-3でフランスが勝利して次のステージに駒を進めている。

米『ESPN』ではカタール大会を含むこれまでのW杯のデータをもとに、面白い事実を見つけ出した。それがポゼッションスタイルの脅威の低下だ。

各チームのポゼッション率は年々上がっており、スペインは日本戦で83%の支配率を記録している。平均ポゼッション率が51%以上だったのは15チームで、2006年のドイツ大会よりも2チーム増えている。ただドイツ大会で決勝トーナメントに進んだのは11チームであるのに対し、今大会では9チームしかいない。ドイツとデンマークは59%と高い数字を記録したが、グループステージ敗退という結果に終わってしまった。

反対に平均ポゼッション率が38%以下だったのは6チームいて日本とモロッコ、ポーランド、オーストラリアが決勝トーナメントに進出している。残りの2チームはイランとコスタリカだったが、グループステージ最終節までチャンスがあったことを考えると、ボールを保持しない戦い方は今後より増えるのかもしれない。

ボールを保持する側の攻め方にも変化が現れており、アタッキングサードではゴール前の中央よりもサイドにボールが集まっている。2010年の南アフリカ大会で優勝したスペインは平均65%のポゼッション率を記録して優勝しており、攻撃の31%をアタッキングサードの中央から行っていた。2018年のロシア大会では74%にまでポゼッション率は上がったが、サイドから攻撃をすることが増えており、中央からの攻撃は23%にまで下がっている。日本もそうだが、サイドからの攻めは割り切って中央では絶対にやらせないスタイルがボールを保持しないチームでは基本となっており、ボールを保持するスペインやドイツ、今大会でいえばデンマークはそれを崩すことができなかった。

西『MARCA』では「ティキ・タカの終焉」と題して今大会でのスペインの戦い方を振り返っている。すでにポゼッション率は勝利を保証するものではなくなっており、今後何か解決策を見つける必要がある。ただこれは代表レベルでの話であり、補強ができるクラブシーンではまだまだ健在だといえる。ポゼッションチームの代表格といえるマンチェスター・シティはプレミアリーグで勝ち続けている。

2年後にはドイツでEURO2024が開催される。そこではポゼッションチームに何か変化が訪れているのだろうか。注目したい。