海外移籍のために川崎フロンターレからの退団を発表した谷口彰悟が12月25日、サポーター主催の送別会に出席した。2635人のサポーターが集まり、これまでの9年間の感謝と、次のステージに挑む高ぶる気持ちをまっすぐに伝えて旅立った。

上写真=「最後までこれをやらせるか。でも、違和感なくやった自分もいる」と笑った谷口彰悟。クリスマスの送別会にブルーのサンタ姿で登場し、2635人と記念撮影(写真◎サッカーマガジン)

サッカーに正解はない

「なんてバカなことをしたんだろう」

 と悔やむ気持ち。

「まだまだ成長したい、大きくなりたいという思いは強かったし、その自分の感情を大事にしたい」

 と高ぶる成長への意欲。

 谷口彰悟は、その間で心の針が大きく揺れ続けたと告白する。12月25日、サポーターグループ「川崎華族」が主催した送別会に2635人ものサポーターが集まり、一人ひとりとグータッチして感謝を伝え、次のステージでの活躍を誓って、川崎フロンターレからカタールのクラブへと巣立った。

 決断はワールドカップの前だったという。J1最終節で3連覇を逃し、カタールに向かうときには新たなチャレンジを決めていた。その意味でも、ワールドカップのグループステージでスペインと、ラウンド16でクロアチアと戦ったことには意味がある。

「やっぱりあのワールドカップを経験すると、本当にいろいろなサッカーがあるんだなと改めて感じましたし、もう正解がない。ああいう大会だと、やっぱり勝つことがすべてという感じで、そこは自分にとっては新しかったし、体験できたのは大きかった」

 個で守り、個で攻めて、勝つ。いわばむき出しの勝負の原点に触れて、成長への意欲がさらにかき立てられた。2試合で得た手応えも大きい。

「自分の特徴をしっかり出せたと思います。落ち着いて相手を見て、ボールをしっかりつなげたし、対人の部分もちゃんとやれるというのはすごく感じました」

 その源になったのは、改めて川崎フロンターレでの1日1日だとかみ締めた。成長を促し、見つめてきたのが、鬼木達監督である。

鬼木達監督からの感謝

 鬼木達監督に報告すると、「いままでお疲れさん、引っ張ってくれてありがとう、と声をかけていただきました」という。「そう伝えていただいて、選手としてこれ以上、幸せなことはありません」と感慨深く振り返る。2014年にプロに入ったときの「鬼木コーチ」は「鬼木監督」になり、谷口はセンターバックでレギュラーになり、タイトルを獲得し続け、キャプテンになった。9年間、ずっと一緒に戦い、成長してきた。

「本当にいい関係を築かせてもらいました」

「今回、いろいろと僕の決断に至った気持ちを話したりもして、そういう気持ちはわかるっていうようなことも言ってもらって。とにかく、次のステージで頑張ってこい、と言っていただきました」

「オニさんには本当にお世話になったというか、キャプテンにもしてもらって、そこでまたぐんと成長できた実感もありますし、僕だけではないですけど、選手一人ひとりがどうやったら伸びるのか、どうやったら刺激を与えられるのかを常に考えてくれました。いくつになっても言われることは言われましたし、とにかく刺激を与えてくれる監督だったので、本当に感謝していますし…という話をしましたね」

 素晴らしい監督と仲間とサポーターに支えられた感謝の思いは、「川崎フロンターレは家族」という言葉に昇華した。集まったサポーターも同じ気持ちだっただろう。谷口とグータッチした2635人の一人ひとりが、みんな笑顔だった。

[ アルバム : 【写真】2017年のリーグ初優勝が思い出の一戦だという。ワールドカップでは2試合でプレーして存在感を示した(写真◎J.LEAGUE/Getty Images/サッカーマガジン) はこちら ]