【専門家の目|金田喜稔】「結果的に存在感が薄かった」鎌田のパフォーマンス問題とは?
3月24日に国立競技場で行われたキリンチャレンジカップで、森保一監督の率いる日本代表(FIFAランキング20位)はウルグアイ代表(同16位)と1-1で引き分けた。「天才ドリブラー」として1970年代から80年代にかけて活躍し、解説者として長年にわたって日本代表を追い続ける金田喜稔氏は、本領を発揮できずに途中交代したMF鎌田大地(フランクフルト)のパフォーマンスを考察し、森保ジャパンが抱える問題点も指摘している。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)
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ベスト16で終えた昨年のカタール・ワールドカップ(W杯)後、史上初めて指揮官が続投し、第2次森保ジャパンが迎えた初陣。前半に先制点を奪われながらも、後半30分にMF西村拓真(横浜F・マリノス)が同点ゴールを決めて1-1に持ち込んだ。
4-2-3-1システムのトップ下で先発出場した鎌田は後半29分までプレーし、ドイツで見せる輝きを放てないままピッチをあとにした。不完全燃焼に終わったプレーメーカーについて金田氏は「孤立感が強かった」と評し、パフォーマンスを分析した。
「鎌田がもっと高水準のプレーを見せられる選手なのは間違いない。本来のポテンシャルからすれば、鎌田に求められる要求も高くなるわけだが、ウルグアイ戦のパフォーマンスは低調だったし、あまりにもボールに触れなさすぎた。ゲームメイクという観点からすれば及第点には程遠い出来だ。アタッカーキングサードで怖さがなかったし、決定的なシーンも作り出せずに終わった」
鎌田の攻撃関与回数と質を問題点に挙げた金田氏は、周囲のサポート不足やチームの戦い方も鎌田のパフォーマンスに影響を及ぼしたと指摘する。
「ただし、鎌田だけの責任ではないのも事実だ。周りのサポートが決して十分ではなかったし、2ボランチとの距離感、後方からのパスなどチームとして改善の余地が大いにあった。鎌田からすれば、ボールを呼び込んでいるのに、肝心のパスが出てこないという感じもあっただろう。鎌田自身のパフォーマンスの問題に加え、そこに周りやチームの問題なども加わり、結果的に存在感が薄かった」
鎌田には「やはり決定的な仕事を望みたい」 問われるのはタレントの活用法
チームの出来も相まって本領を発揮できずに交代した鎌田を冷静に分析しつつ、金田氏はさらなる高みを求めた。
「ワールドクラスとも言えるスキルを持つ鎌田には、やはり決定的な仕事を望みたい。パスが思うように出てこなかったとしても、ポジショニングや周囲との距離感は試合中に修正し、プレーのリズムなども臨機応変に変え、自分の良さを発揮できるような一工夫が必要になる」
今夏の欧州ビッグクラブ移籍話も浮上する鎌田の実力は誰もが認めるところ。そんな実力者の生かし方が今、問われている。
「鎌田が前を向いてプレーし、パスやドリブルなど勝負できる局面を作り出せなければ、彼の持つ良さは発揮されない。鎌田を含めて、能力の高い選手をどう生かすか。これは森保ジャパンが解消しなければいけない大きな課題と言えるだろう」
今月28日にヨドコウ桜スタジアムでコロンビア代表と対戦する森保ジャパンは、W杯組と新戦力の融合を図るなか、タレントの活用法も見どころの1つとなりそうだ。(FOOTBALL ZONE編集部)