2021年度も将棋界の「顔」として大活躍した藤井聡太竜王(王位、叡王、王将、棋聖、19)。昨年度、ついに最年少でタイトルを獲得したかと思えば、今年は一気に五冠までその数を増やし、棋士の序列でも1位になった。メディア露出も抜群で、将棋を知らずとも「藤井聡太」の名を知る者も多いほどだ。この「藤井フィーバー」「藤井ブーム」をきっかけに将棋の世界に振れたお笑いコンビ・サバンナの高橋茂雄も、今やすっかり情報通。ついには本まで出すほどになった。知れば知るほど、藤井竜王の強さがどれほど驚異的なものかがわかり「ほぼ無敵じゃないですか」と目を丸くする中、「観る将」の視点で今、そしてこれからの藤井竜王について聞いた。
5つのタイトル戦に出場し、2つ防衛、3つ奪取。全てタイトル獲得に成功し、トップ棋士ばかりと戦い、勝率は.8125を記録した。プロデビュー間もない若手が8割超えを記録することはあっても、タイトル戦に出ながらの8割超えという数字に、これ以上の説得力がない。
高橋 なんかもう、無敵じゃないですか。だからめちゃくちゃおもしろいんですけどね。順位戦でもB級1組からA級に上がって来期、どんな戦いをするのか今から楽しみですね。B級1組の最終戦も、佐々木勇気七段の方に形勢が振れたじゃないですか。それを見ていて、ぞわぞわしましたよ。最年少の名人に向けてA級に行ってほしい気持ちがありましたし、佐々木勇気さんには29連勝で止められた因縁もありました。佐々木さんが研究をされて臨まれたのにも胸熱ですし、それに応える藤井さんのすごさもありました。
最年少での五冠を達成したALSOK杯王将戦七番勝負では、渡辺明名人(棋王、37)に対して4連勝のストレートで奪取に成功した。充実した内容と結果は、周囲の棋士からも次々に語られていたが、敗れた本人・渡辺名人の言葉が一番強烈だったと振り返る。
高橋 渡辺先生のインタビューを「将棋世界」で読んだんですけど、第2局が終わったころに、もう既にタイトル戦で勝つのはもう無理と言っておられた。もちろん勝ちを目指して最善は尽くすけれど、最高でも七番勝負で2勝できたらいいな、と。そこまで思わせるほど、藤井さんが強いってことですよね。
興奮の「観る将」ライフを送っていたところ、新たな仲間も増えた。以前から親交のあった劇団「ヨーロッパ企画」の石田剛太、藤谷理子とテレビ局の廊下ですれ違った時のことだ。挨拶がてらに将棋の話をしてみると、2人ともに驚くほどの将棋通だった。
高橋 そんなに知ってんの?と驚いちゃいましたよ(笑)。これまでは将棋番組にも出ている伊藤かりんちゃんとか、あとは一般の方々ぐらいとしか「観る将話」ができなかったんですけど、2人の話がもう激熱で。グループLINEを作っちゃいましたね。たとえば順位戦のA級最終戦で豊島将之九段と菅井竜也八段が、翌朝の3時過ぎまで戦ったのがあったじゃないですか。それ、ずっと見ていたんです。今までは誰にも報告できなかったんですが、その仲間たちに送ったら「そんな時間まで見てたんですか!」とか「すごいですね」とか返ってきて、そういう話ができるのは、すごく楽しいです。
もうすぐやってくる新年度。藤井五冠には、肩書通りに5つのタイトル防衛戦が待っており、さらに前人未踏の八冠独占に向けて、残り3つのタイトルを狙いに行く。
高橋 藤井さんがタイトルを持てば持つほどおもしろくなり。誰が藤井さんを番勝負で倒すのか、という見方ができますからね。「王者・藤井」にみんながどんな作戦を持って挑んでくるのかが、ここからの見どころになると思います。
日本中の将棋ファンの期待を背負って戦い、それに想像以上の結果で応えてきた藤井竜王。2022年度も快挙が達成される度に、高橋の持つスマホは興奮を分かち合いたい観る将仲間たちからのメッセージで、通知音が鳴る。
(ABEMA/将棋チャンネルより)