■「上司からの暴言が…」統合失調症を発症、体験を絵本に

近年、自殺を防ぐ手法として、注目されているのが「パパゲーノ効果」だ。自殺を思いとどまった人が経験を伝えることで、抑止に繋がるという。
自らの体験を絵本にまとめて発信している、かけるんさんも「パパゲーノ効果」を実践する一人だ。
「職場の上司から暴言を受けて、幻聴や幻覚が繰り返し見えるようになった」
23年前に統合失調症を発症し、包丁で人を刺す幻覚を見るようになったかけるんさん(48歳)。「いつか、本当に人を殺してしまうのではないか」と、自ら命を絶つことを考えたが、頭に浮かんだのは家族や友人の顔だった。
「親が悲しむと思って、踏み留まったところは大きい。特に統合失調症などの病気を患うと、人が離れて行ってしまうことがよくある。それにもかかわらず、同級生の友人は離れなかった。死ねないと思った」
かけるんさん「苦しいときは逃れるのも手。自分はトイレに逃げる」
