【MLB】ヤンキース1-2ドジャース(6月7日・日本時間8日/ニューヨーク)
メジャー13試合目のマウンドで起きた“突然変異”だ。ドジャース山本由伸投手が先発登板し、7回106球を投げて被安打2、2四球7奪三振で無失点と、ア・リーグ最強もしくはMLBでも最強クラスと呼ばれるヤンキース打線をほぼ完璧に抑え込んだ。投手としてメジャー最高額の契約でドジャース入りを果たした山本だが、前回登板までとはスケールが違う投げっぷりに、日米のファンが心を踊らせた。
球は速い、変化球は落ちるし曲がる、そして制球は抜群。投手の理想を全て詰め合わせたような状況が、この日の山本にはあった。初回、いきなりメジャー自己最速となる98.2マイル(約158キロ)をマーク。ヤンキース入りの可能性もあったことから、敵地のファンから大きなブーイングを浴びた後でもマウンドだったが、いきなりの剛球でブーイングまで封じてしまった。
注目された3番ジャッジとの初対戦は、詰まりながらもレフト線への二塁打を打たれたが、続く怪力打者スタントンは、切れ味抜群のスライダーで空振り三振。いきなり訪れたピンチを脱出した。
立ち上がりから明らかにストレートの割合が多かったこの日の山本。投げれば投げるほど球速、ノビが増すような感覚すらあり、どこからでも一発が出そうなヤンキース打線を力でねじ伏せていく。メジャー挑戦後、注目された大きなカーブは見せ球程度。ストレートに加え、スライダー、さらにあえて横変化を加えているようなスプリットも効果的で、2回途中から6回2死まで打者12人連続アウトも取ってみせた。
とにかく球が速かった。山本はこの試合でストレートを含めて6球種投げたとされているが、その全てで平均球速が前の試合よりアップ。ストレートは1.7マイル(約2.7キロ)、スライダーも1.9マイル(約3.1キロ)と、完全に1ランクも2ランクも上の投手に“変異”していた。
ただ、NPB時代から山本を知るファンからすれば、これが「真の姿」なのかもしれない。例年、クライマックスシリーズ、さらには日本シリーズというポストシーズンを戦ってきた山本からすれば、春先はまだ100%には仕上げてこなかった。むしろ長いシーズンで尻上がりに状態を上げ、大事なシーズン終盤、さらにはポストシーズンで無双する。そんな過ごし方をしてきた。
開幕から丸2カ月が経過。メジャーでの先発ローテーションにも慣れ、いよいよ山本の本領が発揮されてもいい時期ではあったが、ヤンキース打線を相手にこの好投では、じわじわ上がっていた評価が、さらに急上昇する。
(ABEMA『SPORTSチャンネル』)
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