そんな口喧嘩さえもできなくなる日が近づいていた。このまま呼吸する筋肉が衰えると、自力で呼吸ができなくなる。延命するには気管切開をして、人工呼吸器を着けなければならなかった。その後、食べ物と空気の通り道を分離する手術を受けることに。声を出すことは もうできなくなる。
「これからも一緒に頑張ろう」(手術前の将胤さん)
「そうだね。ずっと一緒だからね。ずっと一緒に頑張ろうね」(木綿子さん)
声を失った将胤さん。だが、手術の前から準備を進めていた。将胤さんの肉声をサンプリングし、AIが「合成音声」を作り出す技術と目の動きで言葉を入力できる装置で意志を伝え、活動を続けている。
木綿子さんにこれ以上負担をかけたくないとの思いから、将胤さんは重度訪問介護の事業所を設立。所属のヘルパーに痰の吸引や夜間の見守りなどをしてもらう24時間の介護体制を整えた。
不安や葛藤も…子供をつくる決意
