■出産を経て、家族3人で歩む未来
将胤さん、木綿子さん、ゆあちゃん
そして、いよいよその日が来た。木綿子さんは夜に陣痛が来て病院へ。将胤さんも準備を始めていた。「その瞬間に立ち合いたい」と、木綿子さんが待つ病院へ向かった。
病院で木綿子さんの出産を待つ将胤さん。我が子をイメージした新しい服のデザインをしながら、その時を待っていた。
入院から16時間、元気な女の子が生まれた。「やっと会えた。天使がやってきました。これからね、家族3人で…」(木綿子さん)、「最高にかわいい我が子に会えて幸せです。妻に心から感謝です」(将胤さん)
日に日に成長するゆあちゃん。そして子育てに奮闘する木綿子さん。「喋るようになって、いろいろなことを教えていかなきゃいけない時に、こういう言い方でいいのかなとか、これで合っているかなみたいな。いつの日か『なんでパパはこうなの?』って絶対聞いてくると思う。『なんで喋んないの?』とか『なんで動かないの?』とか。その時にどうやって説明しようかなというのは、すごく悩んでいます」。
そして、将胤さんにも小さな変化が。前回65キロだった体重が64.1キロに減っていたのだ。気にかける木綿子さんに医師は「筋肉量が減ってくるから仕方ないかな…」と応じた。
ALSの診断から10年、今後さらに病状が進むと「TLS・完全閉じ込め症候群」という状態になる恐れがある。目や瞼も動かせなくなり、耳が聞こえて意識もはっきりしているのに、自分が考えていることを伝えられなくなるかもしれない。
「TLSになると妻や娘や大切な人たちとの日々のコミュニケーションが絶たれてしまうのではないか。自分の仕事や挑戦し続ける背中を娘に見せていけなくなってしまうのではないかという恐怖を感じています」(将胤さん)
家族3人で歩む未来
