切断手術から約2カ月、病院には義足をつけてリハビリをする紫乃さんの姿が。しかし麻痺があるため、なかなか義足を前に踏み出すことができない。そこで臼井さんは「秘密兵器」を持ってきた。

「普通だとソケットで足を振れる。ところが紫乃ちゃんはソケットが動かせない。一応、それは想定していたので、じゃあどうするかと言ったら骨盤、腰の力だ。体幹を移動することで、義足をコントロールする。この方法しかないかな」(臼井さん)

 この義足を履いて歩くため、体幹を鍛えるトレーニングとリハビリの日々が始まった。太ももを支えるコルセットを腰に装着し、少しずつ歩き始めた紫乃さん。

「もうスポーツはできなくてもいいから、もう一回走ってみたいんです。歩けることがすごく楽しくて、楽しくて仕方がないというか」(紫乃さん)

 紫乃さんは、さらにその先を見据えていた。階段の上り下りやエアロバイクを用いたハードなリハビリに取り組む日々が続く。

「最初は歩くことすら難しいと言われていたし、でも自分の中で(歩くことを)叶えたいという強い気持ちがあったので、それが日々のリハビリにもつながっていたのかなと思う」(紫乃さん)

義足ユーザーを中心とした陸上クラブの練習会
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