■いまもなお不安が拭えない避難計画

【写真・画像】国は、県は、町は、どう向き合うのか─ 震度7が浮き彫りにした避難計画の課題 「集団的な無責任体制」で住民らの不安拭えぬまま… 能登半島地震 5枚目
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住民不在の石川県原子力防災訓練

 当時の岸田政権は、クリーンエネルギーへの転換を旗印に、原発回帰へと舵を切った。10月には、宮城県にある女川(おながわ)原子力発電所の2号機が再稼働。東日本大震災で止まった原発が再び動き出した。

 その女川原発の運転差し止め訴訟で、2審の仙台高裁は避難計画の不備を指摘する住民の訴えを退けた。判決は「避難計画が対処できない事象が発生するという具体的な可能性が立証されていない」としたうえで、こう述べた。「避難計画は、発生した事態に応じて原子力規制委員会などが臨機応変に決定することを想定している」。

 能登半島地震以降、初めて行われた石川県原子力防災訓練。志賀原発2号機の外部電源が喪失、全面緊急事態に至るという想定だ。

 避難ルートの寸断や放射線防護施設の損傷が現実に起きたことを受けて、ヘリや船での避難、原子力防災用のエアテントの設営など、新しい訓練項目も盛り込まれた。

 しかし、そこに住民の姿はなかった。避難生活を続けている人もいるとして参加は見送られた。住民のいない訓練について馳知事は意義を強調した。

「ここに住民の皆さんの参加が加わったらどうなるのか、やはり線量の検査にしても時間がかかる。そうすると渋滞したりする、あるいは要支援者の場合どうなるか、パニックが起きたらどうなるか、様々な状況があると思われるので、住民が参加された時の困難さを想定しておく必要があると感じました」(馳知事)

「こういう訓練を続けていくことで住民の安全・安心、あるいは安全な避難はできそうでしょうか」(記者)

「できそうですかじゃなくて、しなければいけないので」(馳知事)

いまもなお不安が拭えない避難計画
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