原発防災が専門の環境経済研究所・上岡直見(かみおか なおみ)氏は、避難計画の実効性について納得できる基準が必要だと訴えている。

「よく実効性という言葉が使われますけれども、何が達成されたら実効性があるかという基準が必要だと思う。それを定めないでただ言葉の上だけで実効性と言っても、それは実際に住民の防護には繋がらないと思います。例えば、ある一定の想定された事故が起きても被曝はこれぐらいに抑えられますというような基準が必要だと思う」(上岡氏)

 さらに、議論が進まない背景には、責任の押し付け合いがあると指摘する。

「集団的な無責任体制と私は言っている。それぞれの役割があるはずだが、逆にみんなそれぞれ責任を押し付けあって、国は防災は自治体の責任ですと、自治体は国がやってもらわないと困りますというような形。それから発電事業者は基本的には自分のところの敷地内しか責任を持たない。そういう押し付け合いがあって空白が生じていると言うのが実態だと思います」(上岡氏)

 具体的な避難計画など、原子力防災を管轄するのが内閣府だ。内閣府 原子力防災担当 福原和邦地域原子力防災推進官は、県と町に加え、住民の理解も必要だと強調する。

「書かれている計画がちゃんと実行できるかっていうところ。そのためには機器とか設備とかインフラもそうだろうし、住民の方々にもご理解いただかないと、計画立ててもうまくいかない場合もございますので、住民の方々へのご理解というのを求めながら、計画の実効性というのを高めていくことが大事だと思っています」(福原氏)

「県が無理だったらあの国が支援します。市町が無理だったら県・国が支援しますと、そういう計画を作っている。最終的には県・市町が無理だったら国がやっていくことになると思っていますので」(福原氏)

「今もし起きた段階でできると思いますか」(記者)

「『できる』じゃなくて『やる』ということだと思います」(福原氏)

住民不在の石川県原子力防災訓練
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