■議論が進まない背景にある「責任の押し付け合い」

【写真・画像】国は、県は、町は、どう向き合うのか─ 震度7が浮き彫りにした避難計画の課題 「集団的な無責任体制」で住民らの不安拭えぬまま… 能登半島地震 4枚目
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環境経済研究所の上岡直見氏

 石川県輪島市にある鹿磯漁港では、地震を受けて、原子力規制委員会が地盤の隆起などの現地調査に入った。終了後の記者会見で、避難計画の見直しについては直接の管轄ではないとして、明言を避けた。

「原子力規制委員会が所轄する課題というのが、避難とかそういうことに関しては、我々が主体的にやるのではなくて、内閣府の方でやることになっておりますので、そちらのほうでお聞きいただければという風に思っております」(原子力規制委員会 石渡明委員・当時)

 原発事故の際、おおむね5キロ圏内は即時避難、5キロから30キロ圏内は屋内退避など、大枠を示した原子力災害対策指針は規制委員会がまとめたものだ。

 自治体は、この指針などに基づき、避難計画を作ることになっている。

「道路ができるだけ寸断しないようにして下さい。あるいは、家屋が多数倒壊した場合には近隣に避難所を設けて下さいという、そういうことについては我々の範疇外なので」(2024年2月14日 原子力規制委員会 山中伸介委員長)

 自然災害への対応は「範疇外」。能登半島地震を受けて、規制委員会は、原子力災害対策指針の大幅な見直しを行わない方針を示している。

「避難できなかったり屋内退避ができなかったことを受けて、改めて指針を大幅に見直すようなお考えはございますでしょうか」(記者)
「大きな修正が原子力災害対策指針に対して、必要だというふうには思っておりませんけれども、今後報告書取りまとめていただいた上で、委員会で改めて加筆修正するような必要があるかどうかについては検討して参りたい」(山中委員長)

議論が進まない背景にある「責任の押し付け合い」
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