■国が動かぬ中、「刻む会」が独自調査へ

【写真・画像】「海底に眠る183人の遺骨」長生炭鉱水没事故から83年…「今私たちがしていることは、本来国がやるべきこと」潜水調査続ける市民団体の想い 3枚目
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海底調査に行くダイバーの伊左治佳孝さん(36)

 「刻む会」は国に何度も長生炭鉱の遺骨の調査を要望してきたが、国は、朝鮮半島出身労働者の遺骨について、「所在が明らかな場合」に限り、調査の対象としている。。

 厚労省人道調査室 中村正子室長(当時)は「坑道のどこにご遺骨があるか具体的な場所が明らかでないことなどから、現時点で海底に埋没しているご遺骨の調査を行うことは、現実的に困難であると認識している」(厚生労働省人道調査室 中村正子室長(当時))

 国は、朝鮮半島出身労働者の遺骨について、「所在が明らかな場合」に限り、調査の対象としている。ならば、所在を明らかにしようと「刻む会」は2024年、独自に遺骨収集に向けた調査を始めた。協力を申し出たのは、沈没船や海底洞窟などの調査をしているダイバーの伊左治佳孝さん(36)だ。

「骨の一片でも見つかったら。国が動かざるをえない状況にできる」(井上さん)
「助けるではないですけどね」(伊左治さん)
「助けていただけると。(遺骨を)外に出していただくのは大変なことなので。誰もあんな死に方は望んでいなかったわけだから」(井上さん)

 伊左治さんが乗った船がピーヤに近づき、ピーヤの内部に潜水した。「多分、坑道の近くの深さまで下りられたけど、そこに鉄パイプみたいなのがいっぱい落ちていて通れない。それを全部引き上げたら通れるかもしれない」(伊左治さん)

「高齢のご遺族の一人一人の顔が浮かぶので、何とか皆さんがご健在のうちに、ご遺骨と対面できるよう、皆さんの力を借りながら頑張ってやっていきたいと思っている」(井上さん)

長生炭鉱で家族を亡くした…遺族の想い
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