■遺族の存在と「刻む会」の原点
長生炭鉱で父親を亡くしたチョン・ソッコさん(92)
「刻む会」は1991年の結成以来、事故があった2月3日に近い日に韓国から遺族を招いて追悼式を行っている。
父親を亡くしたチョン・ソッコさん(92)は、以前は毎年のように追悼式に参加していた。韓国にいるチョンさんを訪ねると、父親と一緒に日本に渡っていたチョンさんは、事故現場を見たという。
「国民学校の子どもは、みんな長生炭鉱で(親が働く)子どもたちは、みんな家に帰れと言われた。あの時運動場に上がって、長生炭鉱のところを見たら、水が坑口から噴水のように上がった。あの時、悲しいものだ」(チョンさん)
同じ話を繰り返すチョンさんは、認知症が進行していた。父親の遺骨が見つかったとしても、チョンさんは理解できるのか……。家族の不安が膨らむ。
「刻む会」が炭道の入り口を掘り起こす作業に着手
