■遺族の存在と「刻む会」の原点

【写真・画像】「海底に眠る183人の遺骨」長生炭鉱水没事故から83年…「今私たちがしていることは、本来国がやるべきこと」潜水調査続ける市民団体の想い 4枚目
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長生炭鉱で父親を亡くしたチョン・ソッコさん(92)

 「刻む会」は1991年の結成以来、事故があった2月3日に近い日に韓国から遺族を招いて追悼式を行っている。

 父親を亡くしたチョン・ソッコさん(92)は、以前は毎年のように追悼式に参加していた。韓国にいるチョンさんを訪ねると、父親と一緒に日本に渡っていたチョンさんは、事故現場を見たという。

「国民学校の子どもは、みんな長生炭鉱で(親が働く)子どもたちは、みんな家に帰れと言われた。あの時運動場に上がって、長生炭鉱のところを見たら、水が坑口から噴水のように上がった。あの時、悲しいものだ」(チョンさん)

 同じ話を繰り返すチョンさんは、認知症が進行していた。父親の遺骨が見つかったとしても、チョンさんは理解できるのか……。家族の不安が膨らむ。

「刻む会」が炭道の入り口を掘り起こす作業に着手
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