「万博EVバスの墓場」補助金40億円投入も放置…なぜ採用?「中国では販売できない安全性」「バスの形をして走ればいいレベル」ジャーナリストが解説

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 なぜこのような事態になったのか。自動車生活ジャーナリストの加藤久美子氏は、製造面・安全面がともに追いつかない状況で、EVバス導入ありきで進められた結果だと指摘する。「電動自動車の分野において日本は、アメリカと中国に後れをとっているのが実情だ。しかもパワーが必要な電動バスとなると、日本の大手メーカーですら、まだまだの状況だった。万博ビジネスの公算が大きい」。

 EVモーターズ・ジャパンは2019年、大手メーカーや投資ファンドなどの出資で設立。設立3年目の2022年には、那覇バス(沖縄)と伊予鉄(愛媛)に計3台のEVバスを納車した。そして万博開催の2年前となる2023年5月、万博での運行のため100台を大阪メトロに納車することを発表。最終的にEVモーターズ・ジャパンは、万博で使用した150台をあわせ、2年間で300台以上のセールスを記録した。

 加藤氏によれば当時、国内には万博用に100台以上のEVバスを短期間で供給できるメーカーが存在しなかったそうだ。

 しかし当時の西村康稔経産大臣は、国産にこだわったという。西村氏も2023年2月時点で試乗を行なっている。西村氏は当時を「大阪のバス会社が中国製EVバスの導入を進めていたことに危機感を持ち、日本企業製のバスの導入を奨励しました」と振り返っていた(2025年4月のX投稿より)。

 こうして選ばれたのがEVモーターズ・ジャパンだった。同社は電気自動車の販売やレンタル、メンテナンスなどを手がけ、中国のEVメーカーに車両の製造を委託し輸入販売。さらには車体部分を輸入し、日本で完成させる取り組みも始めていた。

 一部ネットなどでは「中国製で国産ではない」と問題視されたが、通常、車体部品は中国でも、国内で組み立てられた車は「国産車」として登録される。

 問題は、その中身だ。「EV業界では日本の先をゆく中国。“中国製品だから悪い”とはならないが、輸入元であるウィズダムという中国メーカーは、EVモーターズ・ジャパンが設立してすぐに設立された新興企業だ。製品に問題があったのは否めない」(加藤氏)

 2025年4月、福岡県筑後市でスクールバスとして導入されたEVマイクロバス4台に、交差点で突然止まる、ブレーキが利かないなど、重大事故につながりかねない不具合が発生。2週間後には安全の確保から使用停止された。さらに万博開催中も、走行中停止、ドア不具合、ブレーキ系トラブルなどの報告が相次いだ。そして9月1日、大阪市を走る車両が中央分離帯に接触した。

万博でEVバスを運転していたドライバーAさんの証言
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