■開校の日、そして世界へ
開校式に向け高井神島に続々とやってきたのは、島の壁画に作品を提供した漫画家たちだ。
「本当にあった!オーマイガー!これは来ないとわからない。臨場感が伝わらないよ」(絵本『がけのうえのやぎ』の作者、稲垣利暁さん)
2025年4月27日、開校当日。さだむさんは「胸がワクワクしているのか、緊張しているのか。すごい日になりそうで。島が沈むんじゃないかな。スゴイよ。何十年ぶりですよ」と興奮を隠せない。
授業を受けるのは、上島町内の子どもたち20人。教壇に立つのは、『つるピカハゲ丸』の作者、のむらしんぼさん、『恋のシュビドゥバ』作者の塚本知子さん。さだむさんが心から待ち望んでいた風景だ。
「昔を思い出して、涙がぽろぽろ出てきた。二度とこういうことはありえないと思っていたけど、それが現実になって、これからもっともっと増える可能性を感じた」(さだむさん)
開校式から2週間後、おさむさんはさだむさんを島の外へ誘った。
おさむさんは「今回の開校式、今だから言うけど(さだむの体調が)もうダメかもしれないと思った。そしたらうちの病院に連れて行こうかとずっと思っていた。職員にも一部屋空けておけって言っていた。いつでも借りられるように」と打ち明けた。
さだむさんは「どれだけ頑張ってくれたか、やってくれたか…もう言葉では言い表せない、嬉しくてね。こんな男いたのかなって、知り合えて、信じて良かったな。これだけは言えますね。大事にもしてくれたしね。ごめんなさい、支離滅裂な話になって…」と涙を流した。
そして、思いもよらない出来事も。SNSで高井神島の漫画学校を知った、日本のマンガを学ぶノルウェーの専門学校から連絡が入ったのだ。
「いつも日本でマンガの授業を(生徒に)取らせているので、もし高井神島で(授業を)受けさせてもらえるのならすごくいいなと思ったんです」(ノルウェーの専門学校 マンガクラス担当者 佐藤暢代氏)
「来年3月、20人の受講希望者を連れて行きたい」との問い合わせだった。おさむさんは「まさかノルウェーって話、ビックリですね。そんな遠くの話がいきなりここに降ってくれたのは嬉しい限り。世界のマンガ島もまんざらじゃなくなってきた」、さだむさんは「本当にうまくいくような気もしますね。これからだもんね、第一歩を踏み出したばかりだから」と話した。
さだむさんとおさむさんの夢。その先は──。
「本当に2人でやってきた。今考えると、よくここまでできてるなあ」(おさむさん)
「おさむより先に逝くわけにはいかない。できれば一緒に永くいたいなと思う。今後見たいこともあるし、この島がどうなっていくか」(さだむさん)
「俺たちの島がみんなの島になれば、それが僕らの最終ゴールだと思う」(おさむさん)
※年齢等は2025年7月19日地上波初放送時
(愛媛朝日テレビ制作 テレメンタリー『さだむの夢は俺の夢 ~過疎の離島を世界のマンガ島へ~』より)
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