■「公が搾取構造に加担している」財政スリム化の弊害
雇用の問題だけでなく、サービスそのものへの影響も懸念される。
「3月31日まで(業務を)やっていて、次の日にまた来る人もいるかもしれなくて、今まで自分たちのサービスでよかったことがまた次も続けられる保証がないので。それも“利用者ファースト”と言えるのか」(Aさん)
利用者から見れば、同じ都の事業でも、ある日を境に担当者やシステムが入れ替わることになる。
「この場合だと『都民に何らか支障が生じないか』ということまで思いをはせるべきだったと思う。ノウハウはどこに蓄積されているのかというと、働いている人に蓄積されている。今働いている人を、東京都が直接雇って実施することは十分可能だと思う。」(上林氏)
今回雇止めがあった事業は、その後どうなったのか。Aさんが関わっていた事業は、別の事業者が受託して継続している。Aさんによると、パソナから雇止めになった複数の人が、次の事業者に雇用され、再び同じ事業で働き始めているという。
「雇止めになったものの、次の働き先ができてよかった」と思えるかもしれないが、パソナから雇止めになった時点では、次の事業者に雇用されることが確約されているわけではない。面接を受けるなどのコストも発生し、無事採用されたとしても労働条件は同じとは限らず、業務自体も新しい事業者のやり方に合わせていく必要がある。
滝川氏は次のように語る。「この方たちがいないと事業が回らないということ。その人たちに蓄積されているノウハウが必要なのだから。そうであれば、直接雇用すればいいだけだと思う」。
「しかし、財政が苦しい、コスト削減をしないといけないという流れをくんで、できるだけ人件費を抑えようと考え、結果的に非正規雇用の人を安い賃金で雇って労働力を搾取するという構造に東京都が加担していることが起きている。すごく皮肉なのは、本来であれば『公』は労働者の保護に回るべき立場。それが自らこの搾取構造に加担してしまっている。それをコスト削減とか、『小さな政府』『スリム化』という言葉を隠れ蓑にしている。自分たちがやっていることは結局何を引き起こしているのかを本当は直視すべき」(滝川氏)
非正規雇用がもたらした「日本経済の負のスパイラル」
