■なぜ女子枠が必要なのか
女子枠が必要だと考える大分大学の信岡かおる教授は、その背景について次のように述べる。
「理工系分野で多様な人材が求められているのは間違いない。現実には女性が少ない状況が長く続いている。私個人の体験としては、高校生の時に進路を選ぶときに最初に工学部を選択肢から外した。周囲の影響で進路が自然に絞られていく感覚があった。理工系に女子が少ない原因が、単純な個人の選択だけではないと認識されてきたことが大きいと思う。大学としても、どういう人材を社会に輩出していきたいか示す動き、1つのメッセージだと捉えてもらえば、少し理解が深まるのではないか」。
女子が少ない工学部には、ロールモデルがいないことも課題にあげる。
「外国籍の先生に『どうしてこんなに日本人は、女子の理工系が少ないの』と聞かれることがある。私自身は学生の時、医療系学部で女子が大多数だったが、就職して工学部に来たら、女子が全然いない環境で、ロールモデルがいなかった。相談相手もいないし、困った時にどうしたらいいかもわからない。もちろん男性の先生でも相談に乗ってくれる人はたくさんいるが、自分の将来がイメージできない」。
女子枠設置後の変化について実感もある。「女子枠ができたことで『理工学部でも女子を迎え入れてくれるんだね』というイメージができて、オープンキャンパスの時など『受験を考えているんですけど』という女子がかなり来てくれるようになった」と、理工系に関心を持つ女子を増やすためのアクションとしての効果を語った。
コラムニストの河崎環氏は、圧倒的に男子が多い理系学部の現状を、大学が打開しようとする動きだとして理解を示す。
「この理系問題は、そもそもどんなに一生懸命に枠を作っていたとしても、女子がそもそも理系に行ってくれないので、大学も散々困っていることから始まっている。女性を差別しているわけでもなく、来てほしいのに志望をしてくれない」。
一方で河崎氏は、女子枠での合格者が出ることで、男子の不合格者が増える可能性について「大学入試という1点のみにフォーカスした時、そこに割りを食った男子の存在がある」と認めた。
■女子枠は多様性と逆行?
