■日常を奪った「ながら運転」による正面衝突
大阪市に住む神農彩乃(かみの あやの)さんと夫の諭哉(ゆうさい)さん。家族そろっての夕ご飯。そこに息子の煌瑛ちゃんの姿だけがない。「今いたとしたら自分で食べていたし、もっともっとおいしいものを食べさせてあげられていたと思うと、なんだかなと思いますね…」(彩乃さん)
事故は2024年9月、高知県・香南市の自動車専用道路で起きた。竹崎寿洋被告(61)が運転する車が反対車線へ飛び出し、旅行中だった神農さん一家4人が乗った車に衝突。諭哉さんと彩乃さんは重傷を負い、ジュニアシートに座っていた7歳の娘は軽傷。そして後部座席のチャイルドシートにいた1歳の息子、煌瑛ちゃんが全身に衝撃を受けて亡くなった。
父・諭哉さんは「自分自身もすごく痛かったけど、なんとか車から降りて息子の元に駆け寄った。すぐ人工呼吸だったり、『戻って来い、戻って来い』と叫びながらしていたのは、いまだに鮮明に覚えています」と振り返る。
母・彩乃さんは首や背骨など12カ所を骨折。息子のお別れ会には必ず出ると、リハビリに臨んだ。彩乃さんは当時について「2日前に車いすに乗る練習をして、乗れたときに『本当に良かったね』とみんなが喜んだけれど、でも、こんな努力って何のために?って思っていました。だけどやっぱり、息子を最後に抱っこもしてやれないようでは…」と涙ながらに振り返る。
誕生日を迎えたばかりだった煌瑛ちゃん。体を動かすのが大好きだった。「(娘が)踊っているのを見ると一緒に踊っていた。これからもっと踊ったり歌ったりするから楽しみだと思っていたのですが」(彩乃さん)
煌瑛ちゃんの姉(7)は「ベビザラスで煌ちゃんがこれ(車のおもちゃ)をずっと見ていて、ママが買ってきて、車に戻って私があげたら、これ持ってギュッとしていたから、かわいかった」と思い出を話す。
「運転中にサンダルに履き替えようと」運転支援システムへの過信と危険な行動
