「飛鳥・藤原の宮都」が世界遺産へ 景観・遺跡を守るための法律「明日香法」を訴えた男性の存在、住民たちの暮らしのリアル

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かつての「政治の中心」明日香村に魅せられた移住者

 田んぼの向こうには、低い丘がなだらかに連なる田園地帯。一見、日本のどこにでもある、のどかな農村の風景だ。村の広さは、皇居21個分。田園の中に次々と“古代”が現れる。

 蘇我馬子の墓とされる石舞台古墳、極彩色の壁画・高松塚古墳、四神と天文図のキトラ古墳、日本最古の本格寺院・飛鳥寺、聖徳太子が生まれた橘寺、「大化の改新」の舞台もある。

 明日香村は710年、都が平城京へ移るまで約100年にわたり、日本の政治の中心だった。「牛乳を飲む」文化が飛鳥時代にここで広まったとされている。郷土料理「飛鳥鍋」は、鶏肉と野菜を牛乳とだし汁で煮る、まろやかな白い鍋。僧が鶏を牛乳で煮たのが起源とされ、昭和初期に名物となった。飛鳥鍋の店「めんどや」では、単品1人前2750円(注文は2人前から)で提供されている。

 一方で、明日香に魅了された新しい世代も移り住み始めている。「野だてのコーヒーを今日は朝風峠でいれている」と話すのは、トブトリノ焙煎所の中島伸弥さんだ。「田植えの時期で、田んぼもきれい。ぜひ一服お召し上がりください」。

 大阪生まれ、鳥取育ちの中島さんは、全国を歩いて旅した末、たどり着いたのが明日香村だった。古代の歴史と里山の風景が残るこの土地に惹かれ、5年前に移住。完全予約制の珈琲店を始めた。豆は自ら焙煎。明日香の景色を眺めながら味わう1杯が人気だ。「明日香の良さを感じてもらうためには、この自然の中でコーヒーをいれることが一番。『明日香っていいな。日本っていいな』と、五感で感じていただきたい」。

“声の直訴状”が時の総理を動かした
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