「飛鳥・藤原の宮都」が世界遺産へ 景観・遺跡を守るための法律「明日香法」を訴えた男性の存在、住民たちの暮らしのリアル

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「保存」と「生活」のバランス

 保存することと生活すること。それは“制約”と背中合わせ。明日香村はその制約を40年も“先取り”で背負ってきた。タクシー運転手は語る。「一般道は何とか広くしているが、それ以外はどうしても細い道が多い。ここもまっすぐ行ったら細い道。今はまだ車が増えていないので、そこまで危ないという感じはないが、人が増えてきたら車も増えて、危ないかもしれない」。

 明日香村は、古くからの集落が残るため、道幅の狭い道路も少なくない。観光客が増えれば、渋滞の発生も懸念されている。村役場の木治課長は「明日香村の中に、大きな駐車場を増やすのは難しい。(明日香法で)開発が抑制されている。たくさんの人が車で来た時にどうしようかという心配がある」と明かす。

 世界遺産登録は、日本の誇りであることは間違いない。“声の直訴状”を吹き込んだ御井氏や、署名で村を救った人たちの悲願であるに違いない。しかし、世界遺産を支えているのは、遺跡だけではない。田畑を耕し、暮らしを続ける人たちだ。

 森本村議は「住んでいる人はほとんど、別に『世界遺産のために』や、歴史的風土、景観を守るために農業をしているわけではない。世界遺産に認定されても、耕作放棄地の荒れ果てた中に古墳があっては値打ちもない。これから農地を維持していくのは、大変になってきている」と語る。

 移住した中島さんも「温故知新で、今までのしきたりがあるからこそ、明日香が守られてきたと思う。だからそれも大事。だが新しい風も入れていく。いい意味で、ちゃんと景観とか文化を残しながら、受け入れ体制を、宿泊や飲食、物販を整えていくことで、村にお金が落ちていく。『サイトシーイングして終わり』でなくしていくために、そういうところも必要なのではないか」と考えていた。

世界遺産マイスターが語る「飛鳥・藤原」の魅力
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