想像を超える藤井聡太棋聖“永遠の3分”難解な最終盤でも減らない持ち時間の脅威
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 一手でも間違えたら一巻の終わりとなる最終盤。ヒューリック杯棋聖戦五番勝負の第2局。持ち時間がほんのわずかになった藤井聡太棋聖(王位、18)は、周囲が見れば追い詰められていた、はずだった。113手目を指したところで、持ち時間は残り3分。ところがここから145手で残り2分となるまで、藤井棋聖が指した16手分では少しも持ち時間が減らなかった。ファンの間では「永遠の3分」と呼ばれ始めているこの終盤での出来事は、多くのファンや関係者の想像を超え、もはや脅威とも言えるものになっていた。

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 第2局を171手の熱戦で制した藤井棋聖。ただしこの一局は長い序盤、さらには中盤も非常にじっくりとした進行をたどり、夕方に入ってようやく本格的な戦いが始まるといったものだった。一時は相手の渡辺明名人(棋王、王将、37)に1時間以上の差をつけられ、形勢以上に苦しい戦いを強いられるのではというのが周囲の見解だった。実際、藤井棋聖も好き好んで時間を消費していたわけではなく「局面の急所を掴むのに苦心したというか、時間を使う場面が多かったんですが、それでもわからない場面が多かったです」と悩んでいた。

 ところが、残していたわずかな時間が減らない。71手目から93手目まではずっと残り5分、93手目から113手目まで残り4分、そして113手目から145手まで残り3分。時間があれば何時間でも考えたい難所を、71手目から145手目まで、ほとんど持ち時間を消費せずに指し続けたことになる。

 なぜ持ち時間が減らないということが起きるのか。タイトル戦はストップウォッチで時間が計測され、1分未満の時間は全て切り捨てになる。つまり1分30秒かけて指しても消費は1分。59秒までなら0分だ。だからこそ、ずっと1分未満という短時間で指し続ければ「永遠の3分」と呼ばれるような事象が生まれる。

 ルールは理解できるが、やっていることは尋常ではない。渡辺名人の持ち時間はどんどん減り、最終盤にはついに渡辺名人の方が4時間全てを使い切り、1分将棋に入った。対して藤井棋聖は最後まで1分将棋に入ることなく、最後まで指し続けた。ファンから「えぐいわ」「なんかすごい怖いもの見てる」「やべー聡太がゾーンに入ってる」といった声が寄せられるのも無理はない。ただでさえ難しい局面の連続を、わずかな時間の中で正解を指し続ける。多くの棋士が、こういう事態にならないように持ち時間消費のペース配分、タイムマネジメントの重要さを語るが、この棋士については常識が通用していない。むしろ自信のある終盤に時間をかけるより、ミスをすれば挽回が難しくなる序中盤の難所に重きを置いているのかもしれない。なぜなら「永遠の3分」は、この一局だけに見られたものではないからだ。

 この戦い方が、18歳という若さがある今だからできるものなのか。この先もできるものなのか。それは定かではないが、現在において一つのスタイルとなっていることは間違いない。将棋AIの勝率グラフが、緩やかに藤井棋聖の方に傾き続ける「藤井曲線」に続いて、ぎりぎりなのにいつまでも持ち時間が減らない「永遠の3分」。天才の戦いを見る上で、また楽しむポイントが増えた。

ABEMA/将棋チャンネルより)

難所をくぐり抜け勝利した藤井聡太棋聖
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絶品!淡路島ぬーどる
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第92期 ヒューリック杯棋聖戦 五番勝負 第二局 藤井聡太棋聖 対 渡辺明名人
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