フットボール史に伝説として刻まれるふたつのビッグプレー。あの「神の手」と「5人抜き」を演じたスーパースターのユニホームが、スポーツ関連の史上最高額で落札された。
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 英競売大手『サザビーズ』が今回出品していたのは、2020年11月に60歳で他界したディエゴ・マラドーナ氏にまつわる逸品だ。1986年のメキシコ・ワールドカップ準々決勝、アルゼンチン対イングランド戦。当時26歳のマラドーナが鮮烈な2ゴールを挙げて、母国アルゼンチンを勝利に導いた一戦である。

 まず、世界的な物議を醸したのが51分の先制点。ゴール前に浮いた球を相手GKピーター・シルトンと競り合った際、マラドーナは明らかに左手でタッチしてゴールを決めたが判定は覆らず。のちに自身で「神の手」と評した、いわくつきの得点だ。

 圧巻だったのはその4分後。マラドーナはハーフェーライン付近でボールを持つとドリブルを開始。なんとそこから独走でイングランドの選手たちを5人も抜き去り、いわゆる「5人抜き」を完遂したゴラッソだ。この準々決勝を2-1で制したアルゼンチンは、見事2大会ぶり2度目のワールドカップ制覇を果たしている。

 当時、試合後にマラドーナとユニホーム交換したのが、元イングランド代表MFのスティーブ・ホッジ氏だ。この19年間はイングランドの国立フットボール博物館に展示されていたが、氏はついにオークション出品を決断。400万ポンド(約6億4000万円)でスタートした濃青のシャツは、2週間の競り期間でグングンと値を釣り上げ、最終的には714万2500ポンド(約11億4000万円)で落札された。

 これはスポーツ関連商品の落札額としては史上最高だという。これまでの最高額は、近代オリンピックの父と言われるピエール・クーベルタン男爵がオリンピック創設の草案を起こした直筆の文書。2019年に880万ドル(約11億3000万円)で落札されていた。
 

 英メディア『Inside the Games』によると、マラドーナ氏の遺族はユニホームの正当性を疑う文書をサザビーズに提出していたという。36年前のイングランド戦でマラドーナ氏はハーフタイムに一度着替えており、ホッジ氏が所有していたのはそのシャツだったと主張。つまり、あの2ゴールを決めた際に着用していたシャツではないというわけだ。

 しかし、サザビーズ側はこの訴えを却下。「科学的な調査に基づいて、正しいアイテムであることが証明されている」と発表していた。なお同社によると、今回の落札者は匿名を希望しているという。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部