UEFAネーションズリーグ(UNL)のリーグAグループ1第1節、フランス代表vsデンマーク代表が3日に行われ、アウェイのデンマークが1-2で逆転勝利した。

前回王者のフランスは、連覇を狙う今シーズンのUNLの初陣でデンマークをホームで迎え撃った。父親の逝去に伴い、デシャン監督不在となった中、ギー・ステファンを暫定指揮官に据えたレ・ブルーは、守護神ロリスやヴァラン、リュカとテオのエルナンデス兄弟、カンテに加え、グリーズマンやムバッペ、ベンゼマといったベストメンバーを起用した。

一方、デンマークは長期離脱中のケアーを引き続き欠くものの、守護神シュマイケル、メーレ、デラネイ、ホイビュルク、エリクセンといった主力を起用。敵地での王者撃破を目指した。

共に3バックを採用して比較的マッチアップがハッキリした中、アウェイのデンマークがいきなり決定機を作り出す。開始4分、スコフ・オルセンの右サイドでの仕掛けから相手DFに当たってゴール前にこぼれたボールにドルべリが反応。右足のシュートはミートしなかったが、これが絶妙なラストパスに。ゴール左に走り込んだメーレが左足で押し込みにかかるが、これは惜しくも左ポストを叩いた。

立ち上がりのピンチを何とか凌いだフランスは、トップ下でフリーマンの役割を担うグリーズマン、カンテを起点に、相手陣内でボールを動かしながら攻め手を窺う。13分には右サイド深くからカンテが折り返したボールをベンゼマが右足ダイレクトで狙うが、これは相手DFのゴールカバーに遭う。さらに、直後にはムバッペのラストパスに抜け出したベンゼマがゴールネットを揺らすが、今度はオフサイドの判定となった。

互いに決定機を作り合った中、以降はボールを握って押し込むフランス、カウンターで応戦するデンマークという構図の下で拮抗した時間帯が続く。

相手を押し込むフランスは自陣で堅固なブロックを築くアウェイチームに対して、コマンやムバッペの個人技で打開を図るが、相手の集中した守備に苦戦。対するデンマークは高い位置を取る相手ウイングバックの背後のスペースを狙うメーレが幾度か良いゴール前への抜け出しを見せるが、こちらも最後の精度を欠き試合はゴールレスでの折り返しとなった。

迎えた後半、フランスは前半終了間際に筋肉系のトラブルに見舞われたムバッペを下げてエンクンクをハーフタイム明けに投入。立ち上がりから押し込む入りを見せると、絶好調のエースストライカーが圧巻の個人技で先制点をもたらした。

51分、相手陣内の右サイドに流れてコマンからのパスを受けたベンゼマがサポートに入ったエンクンクにボールを預けてボックス中央に走り込む。そして、エンクンクの足裏を使った絶妙な落としを受けたレアル・マドリーFWは、ダブルタッチと細かい左への持ち出しで2人の守備者をかわしてゴール左下隅の完璧なコースに左足のシュートを流し込んだ。

ベンゼマの芸術的なゴールでリードを手にしたフランスだが、ムバッペに続きヴァランにアクシデント発生。ハムストリングを痛めたヴァランは自らピッチに座り込み交代を要求。これを受け、62分にサリバがスクランブル投入された。

一方、60分に3枚替えを敢行し、ダムスゴーア、コーネリウス、ラスムス・クリステンセンをピッチに送り込んだデンマークは、より攻撃的な[4-2-3-1]に変更。すると、この交代策が同点ゴールをもたらす。

68分、ダムスゴーアの高い位置でのボール奪取からショートカウンターに転じると、ボックス手前でボールを持ったホイビュルクがゴール前に浮き球のパスを供給。集中力を欠いたエルナンデス兄弟の間で完全にフリーで抜け出したコーネリウスが右足のダイレクトシュートをゴール左隅に流し込んだ。

この同点ゴールで勢いづくアウェイチームは、直後の71分にもボックス手前右で内側へ仕掛けたスコフ・オルセンが鋭い左足のシュートを枠の右隅へ飛ばすが、これはGKロリスのビッグセーブに阻まれる。

追いつかれて以降はなかなかチャンスまで持ち込めないフランスは、グリーズマンを下げてラビオを投入。中盤の並びを逆三角形の形に変更し、攻撃のアプローチに微調整を施す。81分にはバイタルエリアで一瞬浮いたカンテが渾身の右足ミドルシュートを放つが、これは惜しくも右ポストを叩いた。

試合終盤にかけては一進一退の攻防が続く。86分にはダムスゴーアからの絶妙なラストパスに反応したエリクセンがゴール前でGKと一対一のビッグチャンスも、ここはトッテナムの元同僚ロリスのビッグセーブに阻まれる。

それでも、後半に入ってより多くの決定機を作り出していたデンマークが土壇場で逆転ゴールを奪う。88分、ハーフウェイライン付近の左サイドでメーレが相手ハイラインの背後へ出したパスにコーネリウスが反応。これに対して、再びエルナンデス兄弟の拙守が重なると、そのままボックス左に持ち込んだコーネリウスがDFサリバをブロックしながらニア上へ難度の高い左足のシュートを突き刺した。

軽率な守備対応によってホームで逆転を許したフランスは、後半アディショナルタイムにディアビ、クラウスとより攻撃的なカードを切って最低限のドローを目指したが、逃げ切り態勢に入ったデンマークの守備を再びこじ開けることはできなかった。

この結果、王者フランスは今季UNL初戦を逆転負けで落とすことになった。

なお、ホームでの手痛い黒星を払しょくしたいフランスは6日にアウェイでクロアチア代表戦、連勝を狙うデンマークは同日にアウェイでオーストリア代表戦を戦う。