キリンカップ決勝で、日本はチュニジアと対戦。0-3で敗れてタイトルを逃した。
前半は得点できるチャンスがあった。27分に南野、35分には鎌田と、それぞれ決めてもおかしくない決定機があったけど、決め切れなかった。
雨が降っていたせいで、ピッチは少しスリッピーだった。ボールがバウンドした瞬間に、いつもとは違うスピードになって合わせるのが難しくなる。雨の日の難しさに、日本の選手たちはアジャストできなかった部分はある。
伊東は右サイドから再三にわたって、チャンスを作った。でも、決定的な仕事があったわけではない。途中出場の三笘も、目立っていたけど、完全に相手を抜き切れなかった。三笘以外でも、ビハインドの展開で期待されて投入された久保も堂安も古橋も、点を取れる気配は全然なかったね。
PKを与えたり、味方との連係不足で失点に絡んだ吉田は、ちょっと身体が重そうだった。まあ、ミスから失点を重ねて日本は負けたけど、ワールドカップを見据えれば、テストらしいテストにはなったんじゃないかな。
0-1で負けたブラジルとまではいかないけど、チュニジアも力のあるチームだ。そこに日本は勝てなかっただけ。いずれも4-1で勝ったパラグアイ戦、ガーナ戦で輝いた選手たちも、こういうレベルの相手には活躍できないということだ。
チュニジアは球際が強くて、パスをしっかりつなぐことができて、戦術も整理されている。日本がプレスをかけても慌てない。ラインコントロールは巧みだし、個々の技術もある。負けるべくして、負けた試合でもあった。失点はミスと言ったけど、そのミスも誘われた格好だったね。
実力通りの結果。ブラジル戦もそうだけど、先に点を取られると、取り返せない。いろんな課題が見えた敗戦だった。試合はガンバの本拠地で開催されて、ちょうど関西地方は梅雨入り。森保ジャパンの戦いぶりも、ジメジメとして、どんよりしていたね。
【著者プロフィール】
セルジオ越後(せるじお・えちご)/1945年7月28日生まれ、76歳。ブラジル・サンパウロ出身。日系ブラジル人。ブラジルではコリンチャンスやパウリスタなどでプレー。1972年に来日し、日本では藤和不動産サッカー部(現・湘南ベルマーレ)で活躍した。引退後は「さわやかサッカー教室」で全国を回り、サッカーの普及に努める。現在は解説者として、歯に衣着せぬ物言いで日本サッカーを鋭く斬る。
【動画】吉田が痛恨のPK献上。チュニジアに先制点を許したシーンをチェック