海外組が集まってのテストゲームはあと2試合しかない

6月の4試合あるテストゲームの最終戦チュニジア戦に臨んだ日本代表。前半は0-0で試合を折り返したが、後半まさかの3失点と守備が崩壊し、0-3での黒星となってしまった。吉田麻也含め最終ラインは反省が必要であり、失点の要因となったコミュニケーションはより積極的に取る必要がある。

守備の改善も必須だが、チュニジア戦では攻撃面でより大きな課題が見つかることになった。それは崩しのバリエーションの少なさだ。右の伊東純也、左の三笘薫の個での突破くらいしか得点の匂いがせず、枠内シュートはブラジル戦に続いてゼロ本に終わっている。パラグアイ戦、ガーナ戦では4ゴールずつ奪っているが、強度が上がればそのような大量得点は見込めない。三笘個人での突破力の高さは素晴らしく、強度の高い守備を披露したチュニジア代表も対応に困っていたが、W杯で戦うドイツ、スペインの強度の高さはチュニジアを超えてくる。

日本のサッカーといえばボールを保持する攻撃的なサッカーであり、これまでそのスタイルを貫いてきた。しかしチュニジア戦のように崩しのアイデアが単独での突破しかないのであれば、ポゼッションサッカーの旨みがない。今あるのは攻撃的でより前掛かりになった際に後方に広がるスペースをカウンターで使われてしまう、ポゼッションサッカーの弱みのみだ。

W杯本戦まで残り約5カ月の段階で、システムや戦い方を変えるのはリスクがあるのだが、思い切ってボール保持を捨てるのも悪くない選択肢だといえる。確かにドイツやスペイン相手に長くボールを持たれることになれば守備で疲弊してしまうため、ボールを持つ時間も大事だが、保持時の明確なアイデアがなければそれは武器にならない。日本代表には幸いスペースがあれば世界とも戦える伊東、三笘という武器があり、浅野拓磨や古橋亨梧、前田大然らのスピードもより生きることになる。スペイン代表は前掛かりになった際にディフェンスラインの裏のスペースを突かれて失点することが直近のネーションズリーグでも起きており、勝ち点を奪える可能性は高まる。

それこそガーナ戦の終盤で試した[3-4-3]の3バックは可能性がある。10分程度のお試しであり、機能したかどうかは明確には分からなかったが、板倉滉や伊藤洋輝、冨安健洋と3バックに適した守備者はいる。3バックになれば後方から出し手となれる選手は2人から3人になり、最低限ボールを持っての攻撃もやりやすくなる。守備時は5バックになり、188cmの冨安ら長身の選手が最終ラインに並ぶ。ボール保持を捨て三笘らを生かしたカウンターでゴールを奪う。これが日本代表に残されたW杯で生き残る術だといえる。