【プレミアリーグ】マンチェスター・ユナイテッド2-1リヴァプール(日本時間8月23日/オールド・トラッフォード)
あまりに強烈な“殺人タックル”は本人の意思というよりむしろ“スタジアムの総意”だったというのだ。マンチェスター・ユナイテッドのサイドバックが見せた守備は、伝統の一戦らしい熱気を帯びたプレーであり、ファンも「気合い入りすぎ」と沸き立った。
開幕2連敗で最下位に沈むマンチェスター・Uはこの日、幸先よく先制点を挙げ、“イケイケムード”になっていた。しかも相手は、共にプレミアリーグの“ビッグ6”に数えられる強敵であり、イングランド伝統の一戦に是が非でも勝利したいホーム、オールド・トラッフォードのファンたちは、いつにも増してヒートアップしていたようだ。
前半終了間際、44分のことだった。リヴァプールのGKから前線に蹴り込まれたロングキックの落下地点に入ったのは、コロンビア代表・ディアス。ただし、そこには相手サイドバック、ポルトガル代表・ダロートも入り込み、競り合いに。するとディアスの背中に当たったボールは左へこぼれ、2人はマイボールにすべく、猛然とダッシュ。わずかに早くボールをキープしたのは攻めるリヴァプールのディアスのほうだった。しかし……。
次の瞬間、ダロートがスライディングで奪い取りにいったのだ。相手の膝下あたりに自身の右足を伸ばしたそれは、ディアスを体ごとなぎ倒すまさに“殺人タックル”。当然、ダロートにはイエローカードが出され、ABEMAの視聴者も「これは痛い」とコメントした。
意外だったのが、解説・福田正博氏が発した「スタジアムの雰囲気が滑らせちゃいましたね」という言葉だ。意味合いとしては、1-0でリードするマンチェスター・Uのサポーターにとっては、ここで相手にボールキープされるわけにいかず、「行け!奪え!」とダロートを後押ししたということだろう。“スタジアムのファンやサポーターの声が選手を後押しする”ことをリアルに体感してきた、元日本代表選手ならではの受け止め方をした場面だった。
試合はまさに、ホームの後押しを受けたマンチェスター・Uが2-1で勝利。開幕から3試合目にして、ファンが待ち望んだ勝ち点3を手にした。(ABEMA/プレミアリーグ)