ヴィッセル神戸に所属するFW大迫勇也は、今年2月を最後にサッカー日本代表から遠ざかっている。

 エースストライカーとして長く日本代表を引っ張ってきたが、怪我のため3月のカタールワールドカップ出場権獲得の瞬間には立ち会えなかった。その後もコンディション不良が長引き、ブラジル代表戦を含む6月の4試合も招集外。7月のEAFF E-1サッカー選手権にも出場していない。

 低迷する神戸を救うために無理を押しながら試合に出場し続けた結果、コンディションはさらに悪化。5月以降は時間限定での起用になっていたが、最近になってようやく先発出場できるまでに回復してきたようだ。

 大迫は出場が続く中でも3試合連続ゴールを達成するなど勝負強さを発揮し、ピッチ上での影響力は絶大。8月に入ってからはリーグ戦2試合連続で先発出場し、チームとともに本来の調子を取り戻しつつある。

 では、今年11月に開幕するカタールワールドカップ本大会に向けて日本代表に返り咲くことはできるのだろうか。大迫不在時の穴を埋める選手が確立されていない状況で、やはりエースの復活には大きな期待がかかる。

 試合に足を運んで大迫を現地視察した日本代表の森保一監督も「彼のコンディションは上がってきていると思いますし、上がってきているからこそ先発で試合に出られるようになっているのかなと思っています」と復調を感じているようだった。

「前線で足もとの起点になったり、空中戦でうまく起点になって攻撃につないだり、セカンドボールをいい形で味方に拾ってもらえるようにしたり、攻撃の起点になる部分で彼の良さが出ていると思いました。

守備においても、攻撃から守備に切り替わった時の相手に対する素早いアプローチだったり、いいポジションからチーム全体の守備のスイッチを入れられる、プレッシャーをかけられる部分で、彼が持っているものは出てきているかなと思いました」

 ただ、復活傾向にはあるが、「強度」の面で「まだまだ上げられるところがあるのではという感覚でやっているのかなと見ていました」と明かす。Jリーグでは問題なくとも、国際レベルでの強度の高さに追いつけるかどうかの確信をつかめてはいないという。

 それでも「もちろん候補に入れて考えていきたいと思います」と森保監督は語る。さらにコンディションを上げれば、9月の欧州遠征で約7ヶ月ぶりの日本代表復帰が実現するかもしれない。大迫には、まだカタールワールドカップ出場のチャンスが残されている。

「実際の彼のコンディション、他の選手と比べた時も含めて決めていきたいと思います。今コンディションが上がっている中で、またアメリカ代表戦、エクアドル代表戦となると、インテンシティとデュエルの部分では強度が増すと思いますので、そこに実際コンディション的に耐えていけるかどうかは、視察などで情報を取って選考に関して考えていきたいと思います」

 森保監督から大迫への信頼は厚い。初のベスト8進出に向けて、32歳になり自身3度目のワールドカップ出場を目指すストライカーの完全復活が待たれる。