今夏、サッカー日本代表MF南野拓実はリバプールからフランス1部のモナコへの完全移籍を決断した。しかし、プレミアリーグ経験のある新戦力として大きな期待を寄せられながら、新シーズン開幕からいきなり苦境に立たされている。

 今季最初の公式戦として今月2日に行われたUEFAチャンピオンズリーグ(CL)予選3回戦1stレグ、PSVアイントホーフェン戦に南野は先発起用されていた。

 ところが直後の6日のリーグ・アン開幕戦は筋肉系のトラブルのため欠場。9日のCL予選3回戦2ndレグでは再び先発したものの、チームはPSVに屈してCL予選敗退が決定。南野は低調なパフォーマンスでメディアやファンから批判を浴びた。

 そして、13日に行われたリーグ・アン第2節のレンヌ戦は出番なし。リーグ戦初のベンチ入りを果たしながら途中出場のチャンスを与えられず、モナコを勝利に導くことはできなかった。

 CL予選に出場するクラブが、シーズン序盤にリーグ戦よりも欧州カップ戦出場権獲得のための戦いを重視するのはよくあること。モナコにとってもCL本戦に出場できるか否かは、競技面だけでなくクラブ運営においても死活問題である。

 そのため過密日程になるとCL予選で主戦級が優先的に起用されることも多い。16日にオンラインで取材に応じた日本代表の森保一監督も「直近の試合は出場していなかったですけど、これまでのCL予選ではプレーできていると思います」と、南野の現状を必要以上に憂慮する様子はなかった。

 一方で「筋肉系の違和感を訴えて、コンディション的にも上がっていないところはあると思います」と森保監督が語る通り、心配なのはリーグ開幕戦欠場の要因になった怪我の状態である。

「まずは怪我なくコンディションを上げていってもらえれば、自然と出場機会が増えていくと思いますし、彼がチームにとって必要だということも監督以下、選手の皆さんにも伝わるのかなと。焦らずに自分の良さを発揮してほしいですし、まずはコンディションをしっかり上げれば認められるという自信を持って戦ってほしいと思います」

 南野はコンディション不良によって出遅れる形となったが、強力なライバルたちを押しのけて定位置を獲得できるだろうか。まずは9月下旬に予定されている日本代表の欧州遠征に照準を合わせて、約1ヶ月で周囲からの信頼を勝ち取りたいところだ。